チームが元気になる!エンパワーメント会話術

第1回

部下や後輩の主体性を奪わない指導とは?

齋藤 実央 2016年5月9日
 
「もっと自分の部下や後輩にやる気を出してほしいのに・・・」
という職場の悩みや疑問を抱えている方はいませんか?
 
このコラムでは、「部下や後輩の能力や意欲を引き出して、いきいき働ける職場にするには、どんな工夫をしたら良いのだろう?」と考えている方に、「エンパワーメント」の考え方をヒントに、コミュニケーションのコツをお届けしていきたいと考えています。
 
「エンパワーメント」という言葉は、日常生活の中ではあまり聞き慣れないかもしれません。さまざまな定義がされていますが、私は「人が本来持っている可能性に、“その人自身が”気付き、行動できるよう力づけること」がエンパワーメントだと捉えています。
 
これまで私は、非営利組織における青少年育成事業や、イギリスの大学院でのシティズンシップ教育研究を通して、若者たちの主体的な社会参画を促すためのエンパワーメントとは何か?というテーマと向き合ってきました。その原点となるのが、高校時代の経験です。
 
幼少の頃から東京の多摩地域で育ち、中学受験を経て私立のカトリック中高一貫校に入学しました。高校2年生の時、中高5学年・約80名が在籍するバトントワリング部の部長を務めました。
当時の私は「いかに効率よく大所帯の部活を運営するか?」という部全体のマネジメントに躍起になっていました。部長に就任してすぐに、乱れていたルールを立て直し、限られた部活時間を有効に使うため練習プログラムを綿密に組み、各学年がやるべきタスクをリスト化するなど、部活の基盤を整えることに奔走し、私は新部長としての役割を十分に果たしていると思い込んでいました。
 しかし、その考えの甘さを思い知らされる出来事が起きたのです。
 
 夏合宿の時、後輩の一人から「今年の新入部員たちは、全然積極的に動いてくれません」と愚痴を言われてしまったのです。その理由を彼女はこう言ったのです。
「新入部員たちは待っていれば部長が何でも指示してくれると思っているみたいです。部長がいつも先回りしてやるべきことを整えてあげているから受け身になっちゃったのだと思います」。
 
私は、全体として早く成果を上げるため、多少自分が無理をしても構わないと考え、人に役割を振ることも苦手でした。ですから、「メンバー自身に考えさせるよりも、部長の私が先に指示を出すか、代わりにやってしまった方が早い」と思っていました。しかし、結果的にそれは下級生の主体性を奪うことに繋がっていたのです。
 
メンバーが指示待ちになるかどうかは、本人よりもリーダーのふるまい方なのかもしれません。
そんな経験があったからこそ、私は「エンパワーメント」という言葉に出会った時、強く興味を持ち、それが今の仕事につながっています。


次回から、私の探求してきた「エンパワーメント」という視点から、社内コミュニケーションを見直すコツをお伝えできればと思っています。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 
 

プロフィール

株式会社エンパブリック
齋藤 実央(さいとう みお)

首都大学東京卒業、英国・ヨーク大学修士課程修了(シティズンシップ教育)。 日本赤十字社で青少年教育プログラム等に従事し、大学院留学を経て2015年10月エンパブリックに入社。 各種ワークショップの企画・広報・運営を担当。 セルフエンパワーメントを促す教育的アプローチや環境づくりをテーマに、研究と実践を続けている。

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