経営におけるデザイン活用

第4回

製品開発におけるデザイン活用のメリット

待谷 忠孝 2019年10月16日
 

4回目となる今回は、製品開発を行うにあたって、デザインを活用するメリットをテーマにしたいと思います。

【メリット①】開発にあたってイノベーションを必要としない

Moore(2005)は、イノベーションには14のタイプがあるとしていますが、その内の「破壊的イノベーション」「アプリケーション・イノベーション」「製品イノベーション」「プラットフォーム・イノベーション」の4つは製品・サービスそのものの開発に係るイノベーションだとしています。


それぞれを簡潔に説明しますと、以下のようになります。


破壊的イノベーション

今まで存在しなかったテクノロジーやビジネスモデルによって新しい市場カテゴリーを創出する。


アプリケーション・イノベーション

既存のテクノロジーの新規の応用分野によって新規市場を創出する。


製品イノベーション

既存製品に対して今まで存在しなかった機能を追加する。


プラットフォーム・イノベーション

パートナーと共に新たなプラットフォームを構築する。


さらにMoore(2005)は、これら4つのイノベーションはすべて多大な研究開発投資を要し、市場でのリスクも大きいとしています。


つまり、これらのイノベーションは、経営資源に乏しい中小企業には実現が難しいと言えるでしょう。


それに対して、既存の製品にデザインを付与することで、付加価値の向上を図るということは、必ずしも技術面での高度化やユニークな機能・性能の付与、生産プロセス・販売(流通)プロセスの改善・改革を伴いません。


つまり、新規製品を市場に投入するにあたって、高度な技術や設備を持たない、あるいは少ない資源しか持たない規模の小さな企業にとって、実行できる可能性が高いことを意味します。


これは開発面において有用であるが、選択肢が増えるという点で企業戦略面、事業戦略面においても有用であると言えるのではないでしょうか。

【メリット②】開発期間が短い

機能が高い、あるいは機能面において差別化された新規製品の開発よりも、既存製品にデザインを付与した新規製品の開発の方が、短い期間で実現することができます。


そのため、より早く市場へ製品の投入をすることが可能になるため、速度の経済性が得られやすくなります。


また、開発期間の短さは市場の変化に対する対応力を高めます。


そのため、通常の新製品開発よりも需要の変動・変化への対応がしやすくなることで、収益性や経営の安全性が向上します。


経営戦略面や市場への製品の投入の判断のような、事業戦略面において有用であると言えるでしょう。


【メリット③】開発コストが少ない

イノベーティブな技術を必要とせず、通常の開発よりも開発期間が短いということは、開発のために投入するコストが少ないことを意味します。


また、プロジェクトの失敗、販売の中止時のサンクコストも相対的に少なくなるため、収益が見込めない時の開発中止の判断、収益が低下した際の市場からの撤退するかどうかの判断が、より的確に行えるようになることも考えられます。


したがって、経営の安全性も通常の新規製品開発よりも高まると言えます。


経営資源配分や市場からの撤退の判断など、企業戦略面、事業戦略面において有用な影響が考えられます。

結論

機能的な価値を高めることを否定するものではありませんが、機能的な価値の向上と比較してデザインの活用が製品の審美性を高めるという点に留まらず、中小企業にとって製品開発の安全性と実現可能性を向上させ、経営の安全性をも向上させる要因にもなるということがお分かりいただけるでしょう。

 
 

プロフィール

AM Consulting
待谷 忠孝


1975年生まれ
大阪府堺市出身
中小企業診断士


広告宣伝業界で主にwebデザイナーとして従事している際に、
 ①webサイトを部分最適しても、経営そのものに与える影響が小さいこと。
 ②企業は付加価値を訴求するためにデザインをうまく活用できていないこと。
 ③下請けの中小企業の努力がなかなか報われていないこと
以上を目の当たりにし、制作会社のデザイナーではこれらの解決が
できないと思ったため、経営コンサルタントを目指す。


中小企業診断士の資格取得後は経営コンサルタントとして、
主に企業の経営戦略面や訴求面の支援を行いながら、
中小企業が発展・成長するための差別化戦略と、
経営におけるデザイン活用について、啓蒙活動を行っている。


HP:AM Consulting

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