経営におけるデザイン活用

第2回

デザインがどのような効果を及ぼすか

待谷 忠孝 2019年9月3日
 

第1回で当コラムにおいて「デザイン」とは意匠のことであり、意匠とは、形状・模様・色彩、それらの結合であると定義しました。

デザインに対する認識を共有するために、デザインの構成要素である形状、模様、色彩及びそれらの結合が、どのような効果を及ぼすかを明らかにしたいと思います

形状による効果

製品の形状は製品の性能・機能に影響を与えます。


真ん中に大きな穴が空いているデザインのうちわを想像してみてください。
おそらく、普通にうちわと比べて空気の抵抗が小さいため、あおぐことは楽になるでしょうが、風をおこす効率が悪くなることは容易に想像がつくと思います。


この例を鑑みても、デザインとは単に見た目を良くするということだけではなく、機能性にも影響を与えるということがお分かりいただけるかと思います。


また、形状は使用者にとっての分かりやすさや使いやすさに影響を与えます。
通常のガラス瓶は断面が円形になっているが、形状を変えたことで握力が弱い人でも開けやすくなったという事例があるのでご紹介いたします。


〜高齢者、女性や子どもにやさしいデザインを〜 開けやすい平行四辺形型のガラス瓶を開発しました


形状を変えたことで、握ったときに力が入りやすくなって握力が弱い人でも開けやすくなりました。
そのため、今まで瓶を開けることができなかったユーザーの購買に繋がることが考えられます。

また、握力が弱い人でも開けやすい瓶を開発した企業として、企業のイメージに関してもプラスの効果が得られることも期待できるでしょう。
このように、デザインによってターゲットの拡大とブランドイメージの向上も期待できると言えます。

模様による効果

製品の形や色が全く同じであっても、対象に合わせた模様を施すことで、より対象顧客にマッチした製品にすることも可能です。

例えば、スマートフォンケースにはかわいらしい模様や落ち着いた雰囲気の模様など、様々な模様が施されています。
全く形状が同じスマートフォンケースであったとしても、若い女性に好かれる模様、年配の男性に好かれる模様を施すことで、それぞれ若い女性や年配の男性に対して、商品としての訴求力が高まることは容易に想像がつくのではないでしょうか。


また、文字やイラストも模様の一種として捉えることができるでしょう。
案内や注意書きなど、利用者に読ませる目的で文字を付記するケースもあれば、文字そのものを模様として使用するケースも存在します。
イラストも単に意匠性を高めるためのものと意味をもったものの両方が存在しています。

ドラッグストアではレジを待つ顧客がどこに並び、どこで待つかという位置の情報が床に提示されているのをご存知ではないでしょうか。

店員が誘導をする必要がないために、店員の作業が削減されるという効果や、順番を抜かすことによるトラブルを防ぐ効果がある。


このように店舗側の作業効率の向上や顧客の利便性の向上といった効果があります。

色彩による効果

セルフ式のガソリンスタンドでは、レギュラーは赤、ハイオクは黄、軽油は緑と、給油ノズルの色を油種ごとに変えています。
音声で「○色のノズルで給油してください」と案内をすることで間違いを防いでいます。

工場で使用するパレットも色のバリエーションがあります。
使用する場所で色を分けることで、屋外で使用するものを屋内に持ち込まないようにして、衛生面での管理を行うといったことや、返品する不良品は赤いパレット、検査済み電話出荷待ちのものは緑のパレットに乗せておくといったように色を分けて管理することでミスを減らすといった効果も得られます。


また、千々岩(2001)は、色は聴覚や嗅覚、味覚といった他の五感と共感覚的な関係があり、さらに連想や象徴といった高次の心的作用とつながりを持っていると述べています。

赤は「情熱」「活動的」「危険」、青は「冷静」「知的」「憂鬱」、緑は「自然」「安らぎ」「未熟」といった、見る人に対して一定のイメージを付与します(それぞれの色に対するイメージは国や文化圏によって異なることがあります)。


このように、色によって文字を読まなくても識別ができたり、一定のイメージを与えることができといった効果が得られます。

結合による効果

形状、模様、色彩のそれぞれが何らかの効果を付与することはお分かりいただけたかと思います。
さらに、それらを組み合わせることで、より効果が高まることは想像に難くないのではないでしょうか。

しかし、組み合わせのイメージに不一致があった場合、整合性が取れていた場合と比較して反応が遅延する現象が起こることがをあります。

これをストループ効果と言いますが、百聞は一見に如かずということで、イメージを作成してみました。
レトルトのカツカレーのパッケージのイメージを筆者が作成したものですが、空さの表記部分のみが異なります。
上段と下段を比較してご覧ください。




いかがでしょうか、上段は辛さが増すにつれて、黄色⇒オレンジ⇒赤と色味が強くなっていきますが、下段はバラバラです。
下段の辛さを示す文字と背景部分の色味がマッチしていないことに対して違和を感じないでしょうか。


このように、使用している色彩が文字のイメージと一致していない場合、商品が顧客に選択される機会を失するということも十分に考えられます。


繰り返しになりますが、組み合わせのイメージを一致させることで、違和感を減じ、製品の選択の機会の損失を防いだり、手に取る動機を高めたりする効果をより強めることが可能となります。

 
 

プロフィール

AM Consulting
待谷 忠孝


1975年生まれ
大阪府堺市出身
中小企業診断士


広告宣伝業界で主にwebデザイナーとして従事している際に、
 ①webサイトを部分最適しても、経営そのものに与える影響が小さいこと。
 ②企業は付加価値を訴求するためにデザインをうまく活用できていないこと。
 ③下請けの中小企業の努力がなかなか報われていないこと
以上を目の当たりにし、制作会社のデザイナーではこれらの解決が
できないと思ったため、経営コンサルタントを目指す。


中小企業診断士の資格取得後は経営コンサルタントとして、
主に企業の経営戦略面や訴求面の支援を行いながら、
中小企業が発展・成長するための差別化戦略と、
経営におけるデザイン活用について、啓蒙活動を行っている。


HP:AM Consulting

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