Withコロナ時代の営業戦略

第1回

Withコロナ時代をどう生き抜くか

三浦 隼 2020年4月10日
 

おはようございます。


このコラムでは「カスタマーサクセス(CS)」に関する解説を予定していましたが、コロナの影響で状況が大きく変わってきました。


僕のビジネスも、もちろん影響を受けました。本業であるCS/営業コンサルティングの案件は幸い続いているのですが、営業コンサルメインで支援させていただいている会社さんでは、新規営業が軒並みストップ。訪問営業を前提に業務フローを組んでいる会社だったので、「さて、どうしたものか」と一時はやることがなくなりかけました。


色々考えた結果、コロナと共存していく「Withコロナ」の時代に対応すべく、その会社さんにはオンライン商談(Webを介してパソコン上で顔や資料を見せながら営業する手法)の導入を提案。そのためのツールを選定し、従来の営業資料をオンライン用に作り変え、商談のロールプレイングを繰り返して、何とかこの危機を乗り切ろうという戦略に切り替えることになりました。


ただ、4月7日の緊急事態宣言を受け、「新規のテレアポは一旦ストップ」との会社方針が発表されたため、オンライン商談含め当面の新規アポは実質ゼロ件となってしまったのが現状です。


同じように現在、従来どおりの新規営業活動を止めている企業も多いと思います。ニトリなどは増収増益宣言をしていて、やはり逞しいなぁと思いますし、ピンチはチャンスなので、今あえて積極的に打って出るのは1つの戦略としては正しいとも思います。


ただ、これほど全世界的に経済が止まるというか、ひと休みを迎えるタイミングはそうそうありません。言い方が適切かはわかりませんが、世界が一斉に休暇に入ったような感じでしょうか。


であれば、一旦売上を作りにいく作業はやめ、立ち止まって、戦略を練り直し、新しい価値提供を考え、従業員のトレーニングやオンライン商談体制を仕込むなど、今後に向けた準備期間とするのも良いと思います。


僕の会社でも、今は、新規営業ではなく、新サービスの開発を着々と仕込んでいます。実は本日(4/10)から、今まで保育園に預けていた息子2人を自宅で見ることにしました。これまで保育園に預けていましたが、よくよく考えると、保育園なんて濃厚接触が日常化している場所です。


我が子も、そのお友達も、そこで働く保育士の皆さんも、僕らとは比較にならない感染リスクに晒されて過ごしているわけです。先生方は不安も大きかったと思います。本当に遅まきながらそのことに気づき、自宅保育に切り替えることにしました。保育園の先生方にずっと甘えてしまっていたな、と反省しています。


そんなこともあり、これからは子供たちを在宅で見ながらの仕事になるので、既存クライアントや新規顧客との商談はそこまで積極的にはできないでしょう。


でも、子供たちがテレビを見ている間に隙間時間でWeb会議をしたり、パートナーと新サービス構想をチャットで議論したり、新しいLPや営業資料の制作をslack上のコミュニケーションで進めるといったことは可能です。


やってみないとわからない部分もありますが、子供を見ながらでも、やることを絞ってやりようを工夫すれば、仕事はできるはずです。


また、新規営業だって、やり方によっては在宅でできます。例えば、今は多くの人が在宅ワークをしていると考えれば、オンラインでの新規商談がこれまでになくトライしやすい環境とも言えます。


これまでは、オンラインでの新規営業はハードルが高く、IT業界など一部の領域にとどまっていた感があります。しかし現在、zoomが1〜3月でDAU(Daily Active User:1日のアクティブユーザ数)が1,000万人から2億人に激増したように、zoomをはじめとするオンライン商談・オンラインmtgが新しいユーザ層にも広がっています。


僕のクライアント先でも、「skypeも触ったことがない」と言っていた50代の社員さんが、zoomで打ち合わせをするといった変化が起き始めています。


そうなると、例えばLinkedInやyenta、TwitterといったSNSで繋がった相手とオンラインで気軽に話してみる、ということがやりやすくなる。僕も実際、毎日1〜2件のペースで新しい方と「オンライントーク」をさせてもらっています。


単なる雑談や近況共有に終わるケースもありますが、そこから発展して、コンサルティング相談の話が進んでいる案件もあります。あまり営業という意識で行なってはいない活動なのですが、冷静に考えると立派に新規営業活動であって、僕のところのような小企業はこのやり方だけでも最低限のお仕事は確保できそうです。


そしてこの方法は、例えば従業員が100名いるような企業でもできると思うのです。従業員それぞれが、それぞれに、知らない相手と「オンライントーク」をやればいい。そのうち仮に20%が自社製品やサービスの紹介機会に繋がるなら、毎日少なくとも20件の商談ができると考えられるわけです。


もちろん「新規営業を今のタイミングで行うのはよろしくない」という企業判断もありだと思います。その場合は、上述したように、戦略の見直しや新サービス開発、社員教育などの仕込みをやっていけば良いでしょう。


また、経営者であれば、従業員さんへのメッセージ発信もこまめに、というか毎日くらいのペースで行なうべきです。そうやって少しでも不安を和らげてあげることが大事だと思います。


ただの精神論ではなく、きちんと冷静に状況を評価しながら、厳しくも希望のある方針と覚悟を打ち立てる。未来は俺にだって正直わからない、そう言ってしまっていいと思います。みんなそんなことはわかっていますから。それでも、覚悟と一定の根拠を持って、方針を打ち出しましょう。


従業員さんは当たり前ですが日々不安です。一方で、在宅ワークによって仕事が減り、時間を持て余しています。子供がいればそれどころではないですが、そうでない方は、時間が余り、かつ将来が不安なので、副業や転職を調べたり、仕事は続けつつWebで起業でもしてみるか、といったことも考えるはず。個人の生存戦略としては至極当たり前と言えます。


コロナを受けて、企業活動は基本的に厳しくなっていくでしょう。給与アップなど当然望めないので、個人の興味が副業や起業に向かうことは止められません。つまり従業員の時間と意識、この2つを自社にだけ振り向けてもらうのには限界があります。


とはいえ、です。社長からのメッセージ・会社としての方針の打ち出しによって、彼らの時間と意識をどれだけ繋ぎとめられるかには大きな差が出てきます。


僕の周囲でも、こうした差はすでに生まれています。3月の時点で早々にリモートワーク推奨を打ち出し、従業員の感染リスクと精神的負担を最小化しようと努めた経営者は社内での評判を高めている印象です。


一方で、緊急事態宣言を受けてようやく在宅ワークに向けて動き始めたり、出社/在宅の判断基準を曖昧なままにして従業員任せにしてしまっている経営者は、幻滅されてしまっています。


一国を預かる首相や大統領も、日々コロナと戦っています。コロナ対策として何かを意思決定して発表すれば、凄まじい批判を受けます。それでも、リーダーとして行動し、何かを決め、打ち出し続けているわけです。


経営者もリーダーですから、やはり同じように、方針を決め、メッセージとして伝えていくべきです。


当初テーマとして予定していたカスタマーサクセスについては、今後の状況を見ながら書いていこうと思います。ただ1つ言えるのは、今後のこの「withコロナ時代」には、CSの概念は絶対的に重要になります。


なぜならもともと経済が縮小していた日本で、今回さらにその流れは加速し、新規の仕事というパイはさらに減っていくからです。


企業は事業投資を控えるでしょうから、法人顧客開拓のハードルは高まります。また、個人は将来への不安と外出控えから財布のヒモが固くなるので、個人向けビジネスも厳しい局面を迎えるはずです。


その中でもしっかり売上を作って事業を続けていくには、既存の顧客とのリレーション(関係)がこれまでになく重要となります。自社サービスを導入してくれている既存客や過去に関係のあった顧客にアプローチして、アップセル・クロスセルはもちろん、協業や紹介、新規サービス開発のモニターとして、力を貸してもらうのです。


もちろん一方的にこちらがテイクするのではダメ。まずは相手を満足させることが大切です。つまり、まず顧客にサクセス(成功)してもらうわけです。これがカスタマーサクセスの本質です。


未来がどうなるかはまだ見えませんが、逆境は常にチャンスでもあります。


ビジネスというゲームのルールがこれから大きく変化していくはずです。サッカーのルールが変わったら、従来のルールでプレイを続ける選手はいずれ退場させられます。


私たち企業も同じ。環境の変化を受け入れて、積極的に変わっていくのみ。変化に適応できれば、きっと未来は明るいものになるはずです。

 
 

プロフィール

株式会社FooLaiBo
代表取締役 三浦隼

新卒入社の金融大手にて営業マネジメントを経験。チーム実績において前年比130%超を達成、全社MVP。
戦略策定、施策の企画推進、現場営業および教育プログラム構築を担当。

のち、コンサルティング会社や出版社を経て、B2Bインサイドセールス専門のベンチャー企業にカスタマーサクセスコンサルタントとして参加。
当時国内ではほとんど前例のなかったカスタマーサクセス職のチーム立ち上げ、および顧客企業へのインサイド/フィールドセールスの強化支援を担当。
のべ250社のご支援、300名以上の営業ロールプレイングを行う。

その後、別のベンチャー企業で新規開拓営業の立ち上げ、マーケティング・オートメーション(MA)企業でのカスタマーサクセスチーム立ち上げを歴任し、株式会社FooLaiBoを創業。

HP:株式会社FooLaiBo

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