終活のススメ

第15回

「社葬」とは(下)

清水 宏明 2012年12月26日
 

 中村勘三郎さんの密葬が大きく報道されました。ご自宅に500人以上の弔問が訪れ、メディアもたくさん集まるご出棺でした。27日に築地本願寺で「本葬」が営まれる予定ですので、その前段階の葬儀として「密葬」になった形です。「密葬」というと、規模が小さいものを想像しがちですが、そうとはかぎらないわけですね。

 社葬を行う際は、まず社葬取り扱い規定に基づき、どのような待遇で社葬を行うかを決めることは、前回お話ししました。その上で、「密葬」と「本葬」とを分けて行うのか、火葬を伴う葬儀を社葬として行うのか、という選択をする形になります。

 葬儀のプロからのアドバイスとしては、「密葬」と「本葬」とに分けて行うことをお勧めします。「密葬」を先に行うことで、遺族が故人と別れる時間をゆっくりとりやすくなりますし、「本葬」までに準備期間を設けることで万全な体制で社葬を行うことができます。

 社葬を行うにあたっては、葬儀委員長の決定、企業側のスタッフの選任、連絡網の整備など、決めなくてはならないことがたくさんあります。その中でも、葬儀社の選定は、社葬の成功を担う重要な選択になります。大規模な葬儀に慣れているというだけではなく、企業の大切なお客さまの対応も任せるわけですから、細やかな気遣いができるかどうか等も選択の基準になります。

 社葬の費用は経費として認められるとはいえ、金額が大きくなりがちです。「密葬」と「本葬」を分け計画的に行うことで、費用の掛かりすぎを防ぐことができます。

 少子高齢化や価値観の変化などで、葬儀に対する価値観も変化してきています。一般的な個人葬においても小規模化や簡素化が目立つようになってきましたが、これは葬儀の「社会的な役割」が重要視されなくなったことも要因の一つです。社葬においては、故人の功績・後継者の発表など「社会的な役割」が最も重要です。社葬は、その企業だけでなく、社会において重要な役割を持っているわけですから、これからも大切にしていきたい文化だと思います。

2012年12月26日「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

神奈川こすもす

清水宏明 しみず・ひろあき 神奈川こすもす代表取締役。厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査1級葬祭ディレクター。横浜市出身。1973年、代々葬儀社を営む家系に生まれる。大学卒業後、2001年、神奈川こすもすを設立し代表取締役に就任。著書に「葬儀のルール」。

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