終活のススメ

第13回

「社葬」とは(上)

清水 宏明 2012年12月12日
 

弊社で一昨年行った葬儀の祭壇。社葬となると、この規模の祭壇を飾ることもある


 師走に入り、今年一年でお亡くなりになった著名人について特集が組まれる時期になりました。著名人の葬儀やお別れ会は会葬者が多いため規模が大きくなることが多く、世間からも注目を浴びます。同じく社葬も、会社が主催して広くお客さまをお招きするため、規模が大きいイメージがありますが、例えば中小零細企業の社葬では、一般の個人で行う葬儀と変わらない規模になる場合もあります。

 「社葬」とは、葬儀を主催する責任者(施主)を、遺族ではなく会社や所属団体が担う葬儀のことを指します。「社葬」の対義語は「個人葬」で、こちらは遺族が施主となる一般的な葬儀を表しています。

 取締役会で社葬を行うことを決定した議事録があると、社葬にかかった費用は一部を除き会社の経費として計上することができます。ただし、対象者の会社での役職によってどこまで費用を負担するか、葬儀委員長に誰を立てるか、供花や香典をどう扱うかなど、決めるべきことは膨大になります。

 いざ社葬を行う必要ができたときから決めていては、時間が足りない場合が多いため、事前に「社葬取扱規定」として、どの立場の方にどのレベルの社葬を行うかを取り決めておくことをお勧めします。社会情勢の変化等により変更が必要なることもあるため、年に1度見直す機会を設けるとより良いでしょう。

 そもそも葬儀には、(1)社会的な処理(2)霊の処理(3)遺体の処理(4)さまざまな感情の処理(5)悲嘆の処理-など、多くの役割がありますが、社葬に限れば社会的な処理が非常に大きな比重を占めます。故人の経歴・業績をたたえ、その遺産・遺業を引き継ぐ後継者を明確にする、また後継者・遺族を支える周囲を確認するのが社葬であり、事業継承の場でもあります。

 葬儀について日頃から考える方は少ないと思いますが、事業継承が必要な経営者としては、いざというとき何も決まっておらず残された家族や従業員が困ることがないように、事前の準備が必要です。社葬にどんなメリットがあるか、どんなことに気を配るべきか、3回にわたってお伝えします。

2012年12月12日「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

神奈川こすもす

清水宏明 しみず・ひろあき 神奈川こすもす代表取締役。厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査1級葬祭ディレクター。横浜市出身。1973年、代々葬儀社を営む家系に生まれる。大学卒業後、2001年、神奈川こすもすを設立し代表取締役に就任。著書に「葬儀のルール」。


HP:株式会社神奈川こすもす

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