終活のススメ

第11回

「グリーフ」への取り組み

清水 宏明 2012年11月28日
 

終活フェア川崎で、来場者の質問に答える相談員


 大切な方を失ったとき、人は大きな悲しみや喪失感を抱えることになります。これらの感情を発露せず、自らの中にため込んだものを、「グリーフ(=悲嘆)」と言います。

 日本では、死別の悲しみを内に秘め、己の感情を律して少しでも早く日常生活に戻ることが美徳とされる傾向がありました。そのため、悲しみやそれをこらえる苦しみを表面に出さず、押さえ込んでしまい、「グリーフ」の状態を長引かせる一因となっています。「グリーフ」の状態に陥っている方が、抱え込んだ感情を自ら発露できるように、その人の周囲が受け止めて支えることが、「グリーフケア」もしくは「グリーフサポート」と呼ばれる取り組みです。

 日本でも「グリーフ」に対する理解が広がり始め、「グリーフ」に対応するための体系的な学びの場や、遺族同士が交流する場などが増えてきています。

 また、亡くした後だけではなく、余命宣告などで「死」を意識した時点から「グリーフ」は始まっているといわれています。これが「予期悲嘆」と呼ばれる状態です。

 終活とは「人生の終わりのための活動」です。終活を行うことは、自分もしくは大切な方の「人生の終わり」すなわち「死」を少なからず意識している状態とも言えます。昨今の「終活」ブームによって、今まで人生の終焉(しゅうえん)に向けた取り組みに携わっているという意識のない業種までも「終活」を名目にして相談窓口を設ける例も増えていますが、「グリーフ」に関する知識・経験がない相手に相談することで、不用意な言動によって傷ついたり、ストレスを感じたりすることも考えられますので注意が必要です。

 「終活」として実際に将来に不安を抱える方へのサポートは、さまざまな取り組みが始まっていますが、その中でも「グリーフ」に対する取り組みは、まだまだ万全とはいえません。

 「終活」により将来に対する不安を少しでも取り除くことは大切なことですが、決してその取り組みの全てが明るく前向きに希望を持って行えることではありませんので、実質的な作業の提案と合わせて心のケアを意識することも「終活」の取り組みの中で大事なことだと感じています。

2012年11月28日「フジサンケイビジネスアイ」掲載


 
 

プロフィール

神奈川こすもす

清水宏明 しみず・ひろあき 神奈川こすもす代表取締役。厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査1級葬祭ディレクター。横浜市出身。1973年、代々葬儀社を営む家系に生まれる。大学卒業後、2001年、神奈川こすもすを設立し代表取締役に就任。著書に「葬儀のルール」。

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