自走する組織作りのためのコアコンセプト・マネジメント

第9回

社員の不安を取り除いて、社員の背中をそっと押し続ける

岩井 徹朗 2019年7月23日
 

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

前回のコラムでは、「社長の思いを昇華させて、経営理念としてハッキリ伝える」という話をさせていただきました。


しかし、実際には経営理念がしっかり固まって、社員が納得しても、なかなか社長の思う通りには動いてくれないという問題にぶち当たります。

現状を変えることに社員は不安を抱く

弊社がベースとしている「本能-感情-思考-行動」のプロセスから捉えると、感情の部分で心が動き、「社長の目指す目標に向けて頑張りたい」と考えたとしても、いろいろなノイズが生れてきます。


特に現状を変えるということに直面した場合、人は不安を感じます。

・今までやったことないけれど、本当に自分にできるのだろうか?

・業務改善を徹底的に行うというけれど、これまでのやり方を否定されるんじゃないか?

・仕事を効率化したら、今度は別の仕事をやらされるのでは?


人によって不安を抱くポイントは違います。けれども、「昨日までやってきたことを今日から変えよう」と言われてしまうと、その変化から生じる新たな未来が見えないがゆえに、無意識的に変化を止めようとする動きが生れてくるのです。

社員の不安に思いを馳せる

先日も、クライアントさんが経営改革チームのメンバーを選ぶ際、メンバー候補の人と面談しました。その際、経営者が改革を通してやりたいことを熱心に説いたにも関わらず、反応はいま一つでした。


社員は今の会社の現状にけっして満足している訳ではありません。けれども、いざ自分が主役となって、会社を変えていく担い手になりたいかと言えば、本音の部分としては、自分で動かなくて、誰か他の社員が頑張って会社を改革してほしいと思っています。


社長からすると、それでは物足りないと感じるのではないでしょうか。けれども、それは社員が悪いというよりは、社員としては人としてごく普通の反応をしているにすぎません。


ここで、鍵を握るのが安心の場を提供することで、不安を取り除くことです。

・今までやったことないけれど、本当に自分にできるのだろうか?

 →何かあったら、経営者である自分が責任を持つと宣言する

・業務改善を徹底的に行うというけれど、これまでのやり方を否定されるんじゃないか?

 →仕事のやり方は変えるけれど、今までやってきたことを批判はしない

・仕事を効率化したら、今度は別の仕事をやらされるのでは?

 →空いた時間で今後重点的に取組んでもらいたいことを明確にする


社員は失敗したくないし、余計な責任を取りたくありません。その部分は批判するのではなく、まずはその事実を受け止めて、対策を打つという冷静な対応が求められます。


なので、せっかく経営改革を推し進めようとしても、社員の動きがいま一つの時には、「この社員は何が不安なのだろうか」ということに思いを馳せましょう。社長から見れば、「どうしてそんなことで悩むの?」というようなことで、社員の行動が止まっているケースが少なくありません。

小さな成功体験を積ませる

また、挑戦することに対する漠然とした不安を解消するには、小さな成功体験を積ませて、社員に「これならできるかも?」と感じてもらうことも大切です。


最初は簡単にできることを指示してやってもらう。それができたら、1週間単位ぐらいでできる課題を与え、そこをクリアしたら、1ヵ月後の目標を設定する。指示して丸投げではなく、しっかりとフォローアップすることで、社員にも少しずつ変化が生まれてきます。


一見すると、回り道のようですが、社員の可能性を信じることができるのなら、社員の不安を少しずつでも減らすことで、動きは徐々に加速していきます。


安心の場を作って、不安を取り除いたら、小さな成功体験を積ませましょう。


 
 

ヒーズ株式会社
代表取締役 岩井徹朗


都市銀行に14年半在籍し、創業期のインターネット専業銀行とベンチャー企業の勤務を経て、2006年7月に独立。


「経営者が自然体で力を発揮するためのレールを敷く」ことをミッションとして、オーナー企業を中心に、業務改善、社内体制の構築や新規事業の創出に日々取り組んでいる。


最近はマーケティングのコーチである取締役と一緒に、「社長専任」の社外チームを組成。社長の本質的な価値観に沿った事業展開をマーケティングからマネジメントまでカバーし、洋々たる未来を一人ひとりが切り開いていく世界を実現するべく活動している。


HP:ヒーズ株式会社

同じカテゴリのコラム

キーワードからコラムを検索する