自走する組織作りのためのコアコンセプト・マネジメント

第8回

社長は万有引力の法則に従って、社員を巻き込む

岩井 徹朗 2019年6月10日
 

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。


自走する組織作りは万有引力の法則に従う


前回のコラムでは、「言葉の重みを活かし、思いを込めて伝えきる」という話をさせていただきました。


これを弊社が使っている「本能-感情-思考-行動」のプロセスから捉えると、社長の思いが質量ともに社員の本能を上回らない限り、自走する組織は作れないということを意味します。


我々はこれをセミナー等で「万有引力の法則に従う」ということでお伝えしています。


かのニュートンが発見したと言われる万有引力の法則。引力の大きさは引き合う物体の質量の積に比例するというものです。


我々は通常地球や月の引力を意識しますが、実際には人と人との間においても、万有引力の法則は働いています。しかし、地球と人との間に生じる引力と比較すれば、人と人の間に生じる引力は小さいため、普段はあまり感じることがありません。


これは科学の話ですが、会社経営の中で考えてみれば、社長の思いと社員の思いの比較で言えば、会社に対する思いは、普通社長の方が強いので、社員は社長の思いに従って行動します。

経営改革は痛みを伴うので、本能的には回避される

一方で、人の本能は快楽を求めることだと言われています。つまり、人は本能的には、楽をしたい、苦労を避けたいのです。これは社長も社員も同じです。


そこで、社長が決断して経営改革を進めるケースで考えてみましょう。


社長はこのままだと会社の心配だと考え、経営改革に着手します。この時、社長の中では、本能的に会社の将来に対する不安を避けたいという気持ちが働いています。しかし、社員は社長の言うことを頭では理解しても、改革は痛みを伴うことが多いので、本能的に改革を避けたいという気持ちが働きます。感情の段階で言えば、怖い、不安、モヤモヤするという気持ちが芽生えてきます。すると、思考の段階で、やりたくない、面倒くさい、後回しにしたいと考えて、行動が止まるのです。


先日もある会社で経営改革を進める会議の中で、社長が一つの失敗事例を取り上げて、そこから改善策を見つけようとした際、社員が反発するという状況が生れました。


失敗事例を元に改善策を立てるというのは、ごくごくオーソドックスな手法です。しかし、失敗事例を取り上げたことで、社員は「自分は社長から非難されている」「今までの仕事のやり方を否定される」と受け取ってしまったのです。

社長の思いを経営理念に昇華させる

「本能-感情-思考-行動」のプロセスではより本能に近い部分が影響します。その結果、いくら理論的には正しくても、本能や感情の部分がマイナスに働いてしまうと、期待しているような行動が生れず、結果に結びつきません。


そのため、我々は社長の思いを質量ともに上げることを重視しています。すなわち、社長の思考だけではなく、感情の部分にアプローチして、社長の思いをしっかりと腹落ちするまで昇華させるのです。


そこまで、社長の思いを言葉として重みを増すことができたら、社員の本能は強いものに巻かれろではありませんが、社長の言う通りやった方が最終的には楽になるかもと察知し、社員を巻き込んでいくことができます。


しかし、社員がやる気のない態度を見せたり、反発したりすると、社長の方もイラついてしまい、ついつい余計なことまで言ってしまったり、社員を必要以上に叱責したりすることがあります。すると、社員はますます萎縮してしまい、社長の真意が伝わらなくなります。


これはどんなに優秀な社長も人間である以上、仕方のない側面があります。それゆえ、社長の思いを昇華させて、経営理念とハッキリ伝えること。そして、社員は会社のすべての行動を必ず経営理念と結びつけて考えるよう徹底することが大事になってきます。


これを愚直に実践していった先に初めて、社員が自走する組織が生れます。


 
 

ヒーズ株式会社
代表取締役 岩井徹朗


都市銀行に14年半在籍し、創業期のインターネット専業銀行とベンチャー企業の勤務を経て、2006年7月に独立。


「経営者が自然体で力を発揮するためのレールを敷く」ことをミッションとして、オーナー企業を中心に、業務改善、社内体制の構築や新規事業の創出に日々取り組んでいる。


最近はマーケティングのコーチである取締役と一緒に、「社長専任」の社外チームを組成。社長の本質的な価値観に沿った事業展開をマーケティングからマネジメントまでカバーし、洋々たる未来を一人ひとりが切り開いていく世界を実現するべく活動している。


HP:ヒーズ株式会社

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