自走する組織作りのためのコアコンセプト・マネジメント

第12回

最初に「言葉を整える」ことで、みんなで考える際の焦点を絞る

岩井 徹朗 2021年2月15日
 

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。


弊社では「考える」にあたって、次の3つの「整える」をいつも意識しています。

・「言葉」を整える

・「期限」を整える

・「」を整える

今回は、この中で最初の「言葉を整える」について書きます。


どういう文脈でその言葉を使うのか

会議で議論が紛糾する際、よくあるのが「言葉の定義が人によって違うために、意見が噛み合わない」ということです。


ある会社で、社長が「軍隊」の話を例に取って話をしたことがありました。


社長の真意は、「軍隊で大切なのは兵站をしっかり確保すること」なので、「会社で営業する際も、どのような材料を持ってお客さんの所へ行くかをしっかりと考えて行動しよう」ということでした。


しかしながら、多くの社員は「軍隊=上意下達」なので、「上司の命令は絶対だ」というように解釈し、社長の意図とは真逆に、「何も考えずに上司の言われる通りに行動しよう」と捉えてしまったのです。


これは、例話として使った「軍隊」という言葉をどういう文脈で使うかで、話がかみ合わなかった事例です。


励ますつもりが、意気消沈

また、私はあるクライアント先で、社員の方々が積極的に行動されているのを褒める意図で、「自主的に動いているじゃないですか」と言ったことがあります。


しかし、その発言をした打ち合わせ以降、メンバーの方々の動きがやや鈍くなったので、次のミーティングの際、聞いてみたところ、「自主的=自分たちは会社の許可も得ないで、勝手に動いている」と解釈して、行動のスピードを抑えていたことがありました。


私としては、社員の方を鼓舞するつもりで言った言葉が、逆に社員のモチベーションを下げていたことが分かり、すごくびっくりしました。


同じ日本語でも通じないという前提に立つ

このように、同じ日本語でも、話し手が使っている意味と、聞き手が理解する意味が大きく違っていることがあります。


ましてや、より抽象度の高い経営理念などは、解釈の幅が大きくなります。このため、たとえ、毎朝朝礼で自社の経営理念を唱和していたとしても、100人社員がいれば、100通りの意味で理解している可能性があります。


このため、皆で考えて知恵を出すような場では、最初に「言葉を整える」ことが絶対に欠かせません。特に一般的によく使われる言葉であっても、きちんと、その「言葉を定義する」ことが大切です。


言葉を定義して、考える際の焦点を絞る

先日も、ある不動産管理会社で「オーナー担当」の定義が人によって違うということが判明しました。言い換えれば、「オーナー担当」の役割が明確でなかったのです。


社長から見れば「ちゃんと役割を果たしてほしい」と感じるようなことがあっても、社員の側からすると、「部長からは『オーナー担当としてこれを聞いて来い』と指示されています」という反応。


社長―部長―社員の間で「オーナー担当」の仕事の範囲が異なるために、社長が「もっと考えて仕事をしてほしい」と思っていても、会社全体としては社長の期待通りには動いていませんでした。


そこで、その会社では関係する社員を集めて、「オーナー担当」をきちんと定義し、その仕事の内容と範囲を明確にして、社内で共有するよう動いています。


もちろん、仕事の内容と範囲はすべてのことを網羅することはできません。しかしながら、最初に「そもそもオーナー担当とは?」ということを定義できれば、そこから派生することはすべて、その担当社員の仕事であるということになり、以前よりも、無用な責任の押し付け合いが減るはずです。


言葉は自然と意味が無限に広がっていくので、会社によって、ウチで使う「○○は××である」と最初に定義することで、考える際の焦点を絞りましょう


 
 

ヒーズ株式会社
代表取締役 岩井徹朗


都市銀行に14年半在籍し、創業期のインターネット専業銀行とベンチャー企業の勤務を経て、2006年7月に独立。


「経営者が自然体で力を発揮するためのレールを敷く」ことをミッションとして、オーナー企業を中心に、業務改善、社内体制の構築や新規事業の創出に日々取り組んでいる。


最近はマーケティングのコーチである取締役と一緒に、「社長専任」の社外チームを組成。社長の本質的な価値観に沿った事業展開をマーケティングからマネジメントまでカバーし、洋々たる未来を一人ひとりが切り開いていく世界を実現するべく活動している。


HP:ヒーズ株式会社

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