自走する組織作りのためのコアコンセプト・マネジメント

第10回

社長の社員離れ、社員の社長離れを意識する

岩井 徹朗 2019年8月28日
 

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

前回のコラムでは、「社員の不安を取り除いて、社員の背中をそっと押し続ける」という話をさせていただきました。

今回は「こんなことでも社員は不安になるんだ」というケースがあったので、ご紹介したいと思います。


「自主的に動く」はネガティブワード?

自主的に動く。

社長であれば、誰しも社員にそうあって欲しいと考えておられるかと思います。


けれども、最近、「自主的に動く」ということを否定的に捉える人たちがいるということに気づきました。


では、その人たちはこの「自主的に動く」ということをどのように捉えていたのでしょうか。

一言で要約すると、「自主的に動く=社長の了解を得ずに勝手に動く」です。


ある会社で、私は業務改善に取り組んでいる社員の人たちに、敬意を込めて「自主的に改善に取り組んで素晴らしい」ということを繰り返しお伝えしていました。

しかし、その後の反応がいま一つなので、よくよくお話をお伺いすると、「自主的にやっていると言われるたびに、やる気をなくしていた」のです。


社員の心理状況に対する仮説

彼らの心理状況を分析すると、

自主的にやっているということは社長の了解を得ていない

 ↓

了解を得ていないということは、社長からも評価されない可能性がある

 ↓

日常業務もあって忙しいのに、評価されない仕事なんかやりたくない

という訳です。


もちろん、社員が取り組んでいる業務改善に関する活動は随時社長にも報告しています。そして、その自主的な活動状況について、社長は「もうちょっとスピードアップしてほしい」という希望はあるものの、一定の評価をされています。


しかし、社員の側からすれば、社長から直接指示されたことは内容とゴールがハッキリしているがゆえに、たとえ、その指示内容に納得いかなくても、その通りにやれば、少なくとも怒られる可能性はありません。


一方で、社員が自主的に行っている活動については、自分たちで内容とゴールを決めているので、仮に自分としては納得のいくものであっても、「社長から褒められない」、場合によっては、「せっかく頑張ってやったのに批判される恐れがある」と捉えていたのです。


社長と社員と間で適度な距離感を保つ

中小企業において、社長直轄でプロジェクトを進めることは大いに効果があります。


けれども、個々の細かい業務改善について、すべてを社長直轄で進めてしまうと、社長はいくら身体があっても足りません。この場合、大まかな方向性は示して、日々の進め方等は社員の自主性に任せざるを得ません。


しかしながら、中には社長との距離が少し離れることで、ちょっとしたことに対しても不安を覚える社員がいることも事実です。


この場合、社長の側からすれば、多少進め方や出てくる成果に不満があっても、それを受け入れるという意味での社員離れが必要であり、社員の方は、社長からいちいち細かい指示がなくても、自分たちで進めていくという意味での社長離れが必要です。


子育てで言えば、乳幼児の場合、親の手厚いケアが必要です。けれども、やがて、幼稚園に入ったり、小学校に入学したりする頃になると、親と子は一定の距離を置きながら、親は子を見守り、子は親から少しずつ自立することを覚えます。


社長の社員離れと社員の社長離れ


お互いの距離感は会社によって違いますが、適度な距離感を保つことができないと、やがて会社の成長を妨げる要因となります。

あなたの会社では、社長と社員の距離感はいかがでしょうか。


 
 

ヒーズ株式会社
代表取締役 岩井徹朗


都市銀行に14年半在籍し、創業期のインターネット専業銀行とベンチャー企業の勤務を経て、2006年7月に独立。


「経営者が自然体で力を発揮するためのレールを敷く」ことをミッションとして、オーナー企業を中心に、業務改善、社内体制の構築や新規事業の創出に日々取り組んでいる。


最近はマーケティングのコーチである取締役と一緒に、「社長専任」の社外チームを組成。社長の本質的な価値観に沿った事業展開をマーケティングからマネジメントまでカバーし、洋々たる未来を一人ひとりが切り開いていく世界を実現するべく活動している。


HP:ヒーズ株式会社

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