皆さんは将来のビジョンはありますか?
「将来の目標が全然思い浮かびません・・・」
私が開催するキャリアセミナーで参加者の皆さんに「将来のビジョンを考えてみてください」とお聞きすると、よく出てくる回答がこれです。「おっ、今日もきたな」と思うくらい定番のフレーズなのですが、優秀な大学や経歴等全く問わず、本当に多くの方々からこの回答をいただきます。
「あっ、私もだ・・・」
と思った皆さん、安心してください。 あるデータによると、明確な目標を持ち、その実現に向けて努力している方は「6%」しかいないそうです。裏を返せば、その「6%」に入るためには、自身の目標を考えると良い、ということになります。
目標設定と結果の相関性
もう一つ事例をお話します。ハーバード大学の教授が卒業生を対象にある実験を行いました。教授が学生に対して与えた「卒業後の目標はありますか?」という質問に対して「どのように回答したか」と「その人がその後どのような人生を送っているか」の相関を調べたものなのですが、回答とその後の状態は下記の関係性があったそうです。
【24%】「卒業後の人生について何も考えていなかった」→「生活保護を受けたことがある」
【60%】「就職先は決まっている」→「目の前の暮らしに精いっぱい」
【13%】「5年後にやりたいことや目標がある」→「良い暮らしができている」
【 3 %】 「5、10年後の目標が明確で、それを書き出している」→「大成功した」
「大成功した」と答えた3%の人たちの平均年収は、84%の人たちの10倍だったそうです。ちなみに、このデータは日本の所得分布とも大きな差異はない様に感じます。 先の「6%」の話と合わせても「目標が明確にある」ことこそが、明るいキャリアビジョンにとって最重要である、と言っても過言ではないと私は考えています。
無目標が可能性を閉ざす?
やや厳しい言い回しになってしまいますが、私が転職希望者のキャリア支援をする中で「どうしてこうなってしまったのですか?」と、怒りにも悲しみにも似た感情を味わうケースがあります。
「20、30代に獅子奮迅の活躍。任せてもらう仕事が増え、家族もでき忙しさに埋もれてしまった。新しい挑戦をしたいと常々思っていて、40代の今がラストチャンスだと思い会社を飛び出しました。でも、なかなか良いご縁がなくて転職活動に苦労しています・・・。」
上記の状態に陥る方々の経歴は、若くして会社の役員をしていた、会社で活躍し1,000万円を超える年収を得ていた、数々の新規事業の立ち上げに携わってきたなど実に様々です。経験的にも人間的にも優れているこの様な方々が、何故こんな状態になってしまったのか。
理由は明確で、「将来の目標が明確化されておらず、転職のための準備がなされていなかったため」です。
美容院に行った際、次回の予約をその場ですると予定の日にまた行くものの、「後で良いや」と予約を取らないと忙しさにかまけて髪が大変なことに・・・。これは、私のどうでも良い失敗事例なのですが、皆さんのキャリアビジョンではそうはいきません。
大活躍をしていて、忙しい皆さんにこそ、5年、10年と自分が目指す先を常々見定める必要があるのです。 特に今はまだ若い、と思っている20、30代の皆さん。人間である以上誰でも年を取りますし、社会もどんどん変化していきます。「こうしたい!」と思った時に、全くの準備無しに実現できる可能性はとても低いということを知っておいてください。それだけで今後の行動が変わります。
目標はどうやって設定したら良いのか?
最後に、目標となる将来のビジョンの設定方法についてお話をしたいと思います。 ここまで散々目標を作ることの大切さをお話してまいりましたが、先に断りを入れますと 「キャリアビジョン(ひいてはライフビジョン)」を作ることは最高難易度のタスクである」 と私は思っています。ですが、最高難易度のタスクをこなした方が、自らが望む数パーセントの未来を手に入れられるのですから、やらない手はないはず! 私は、下記の3点をポイントにして目標を作成することをお勧めします。
① 何年後の目標かを考える(5年、10年等の中長期目標が望ましい)
② お金(資産)、仕事、時間、人脈(人間関係)の4つのマトリクスに分けて目標を立てる
③ 目標は漠然とした状態でもOK
特に③が大切なのですが、「目標を立てましょう」となると、どうしても「凄い目標を立てないといけない・・・」と筆が止まってしまう方が見受けられますが、まずは望むままに、自由に考えていただいて大丈夫です。
例えば、
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◆目標:10年後に【年収は落とさずに家族と過ごす自由な時間を週3日は回作りたい】
↓
◆課題:【自分でコントロールできる働き方】を実現するため、実力・経験・実績を積む必要がある
↓
◆実現手段:小さく副業をスタート、ダブルワークで鍛える、本業で圧倒的な成果を残す 等
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このプロセスでOKです。ビジョンに対しての実現手段の設計については、第4回のコラムで詳しくご説明したいと思います。 また、立てた目標は将来的に変わっても構いません。
「理想の将来の自分に向かうための指針」(お守りと私は呼んだりもします)として、今自分は目標に対してどんな状態で、計画通りなのか、計画から逸れていたり修正は必要なのか、を考えるようになるだけでも、とても大きな一歩を踏み出していると思います。
その踏み出した一歩が、皆さんの明るい未来に繋がっているはずです。