テクノロジーは人類を救う?

第7回

顧客の心に響くアプローチと双方向のコミュニケーションの重要性

太田 匠吾 2018年12月10日
 

テクノロジーの発展にともない、製品のアプローチの方法や、宣伝の方法も、様々な形で変化してきました。テレビCMが登場したのは1960年代。以降、テレビCMは改変を加えながらも、現代まで存続してきました。しかし現在は、テレビのみならず、インターネット上にも多くの広告が見られるようになりました。

いたるところに宣伝、広告があふれ、また、インターネットの普及により、消費者自身が見たい広告、見たくない広告をある程度選べるようになりました。

そんな中、今消費者の間で関心のある広告とされるのが、ストーリー性のある広告です。商品を前面に押し出すだけでは、もう消費者は見向きもしなくなってきているのです。特に、身近な人のストーリーや、自分と重なる面があるストーリーに顧客はより惹きつけられるのです。

人は自分が主体

これまでのストーリーテリングは共感をメインに、「誰か」のストーリーを語る手法です。しかし、多くの顧客は、町で行われる演説に関心を示さないように、親しくない人物、企業のストーリーにはあまり興味がありません。

そこで新たに生まれたのが、ナラティブマーケティング。ナラティブは、ストーリーであることに変わりはないのですが、こちらは「語り」。つまりは、Twitterなどで顧客が自由につぶやく「呟き」こそが、ナラティブなのです。

Twitterの呟きからヒットが生まれることが、だんだんと当たり前になりつつあります。SNSでその商品の使用感を呟いたツイートを見た人は、それが「すごくよかった!」という情報なら、この商品はいいものなんだと認識し、「まったく使えない!」といった内容なら、その商品は悪いものであると認識します。また、その商品のことを知らなかった人は、そんなものがあるのだと、その商品の存在自体をはじめて認識することになります。

口コミととてもよく似ていますが、Twitterは基本的に知っている人、「自分が」興味のある人と関わる場であり、不特定多数の見ず知らずの人が投稿する口コミとは、顧客の信頼度がやや異なっています。

顧客自身に体験を語ってもらうことが、より多くの共感を集め、関心を寄せることができるのです。

顧客自身にストーリーを語ってもらう

これからの宣伝で一番重要になるのは、顧客自ら広告塔になってもらうことです。時代は移り変わり、多くの人が何かしらの情報を発信するツールを持つようになりました。これまでは、企業がテレビCMを流したり、雑誌や新聞に広告を載せ、一方的なアプローチをすることが主流となっていました。ですが、企業のきれいな言葉が並べれた広告に顧客は見飽きており、より信頼できる情報を求めるようになりつつあります。

このようなデータがあります。ジャストシステムが行った調査によると、スマートフォンを所持している全年代のうち、情報収集の際にもっとも利用する機会が多いメディアを聞いたところ、「スマートフォンからのインターネットやアプリ」が最も多く(44.9%)、次いで「パソコンからのインターネット」(24.9%)、「テレビ」(24.4%)と、インターネットやアプリがテレビや新聞を上回る結果となりました。

(参考:ジャストシステムはネットリサーチサービス「Fastask」、『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年2月度)』)

特に、年代が下がっていくごとにインターネットがあることが当たり前になり、使用頻度も多くなる傾向にあります。簡単に友人とつながることにできるようになった現代では、顧客は身近な人物の意見、情報を信用します。また、身近な人物と同じものを使用することによって、そこにコミュニケーションが生まれます。そうして顧客がSNSを通じてコミュニケーションをとることを考え、若者が呟きたくなるようなものを提供することが重要になってきます。

少し前にインスタ映えという言葉が流行いたしました。それに合わせて、写真映えするような食べ物などが数多く登場いたしました。それらはSNSにとどまらず、メディアにも取り上げられ、大きなブームとなりました。メディアがブームを作るという従来の仕組みは変わらずありますが、メディアもインターネット上で盛り上がりを見せるものを無視できなくなってきているのです。

コミュニケーションの取り方を考える

一方的な情報発信の時代は終わりつつあり、これからは顧客自ら情報発信をしてもらうようことも重要になってきます。そのためにも、話題性のある内容を提供していく必要があり、顧客がなにを求めているかを考えることが、企業のイメージアップにもつながっていきます。

そしてテクノロジーの進化にともない、双方向のコミュニケーションも自動化ができるようになってきました。うまくAIを使用し、顧客の求める情報を取得することができれば、より顧客の心に響く宣伝を行うことが可能になっていくはずです。

 
 

株式会社コンシェルジュ 代表取締役
太田匠吾


東京大学大学院農学生命工学研究科修了。
JPモルガン証券投資銀行本部でM&Aアドバイザリー業務や株式・債券関連の資金調達業務に従事したのち、産業革新機構で企業とのプライベートエクイティ投資やスタートアップ企業へのVC投資を経験。
2016年にコンシェルジュを創業し代表取締役に就任

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