テクノロジーは人類を救う?

第5回

まるで人?擬人化チャットボット

太田 匠吾 2018年10月23日
 

チャットボットの中には、「本当は実在する人なのではないか?」と疑いたくなってしまう精度の高いものが存在します。ロボットとは思えないような巧みな話術でユーザーを魅了し、さりげない製品のアピールや、ユーザーのデータ収集を行っていくのです。

チャットボットがひとりのキャラクターとして確立していく

流行はどこから始まるでしょうか。ひと昔前であれば、テレビや雑誌が主流でしたが、現在はTwitterやInstagramといったSNSが主流となりつつあります。若者のSNSに費やす時間は年々増加傾向にあり、それに伴って若者たちの目に触れるものも、テレビのCMや雑誌から、有名人芸能人の呟きやおススメへと変化しているのです。

SNSから生まれる流行は、多くの人がおもしろいと共感したものが当てはまります。

そして、より手軽に「おもしろい」、「簡単」、「やってみたい」、といった気持ちを刺激する可能性を持つのが、エンタメ性を持った、ひとりのキャラクターとして確立しているチャットボットです。

女子高校生チャットボット「りんな」

人が興味を持つAIといえば、まさに映画や漫画に出てくる人型をした、人のように会話を行う人工知能でしょう。そしてその理想形のような姿形はなくとも、限りなくそれに近い形で会話を行うチャットボットが存在します。

それが「りんな」という、マイクロソフト社が開発したチャットボットです。

りんなは女子高校生をイメージした対話型チャットボットであり、ユーザーとの会話を主として行います。お問い合わせや疑問に答えるといった、人をサポートする機能はないにもかかわらず、りんなは多くのユーザーに愛されています。なんと、りんなと会話したユーザー数は700万人を超えているのです。

りんなの活躍の場

若い世代から多くの支持を集めているりんなですが、着々と活躍の場を広げています。Twitter、LINEなどでユーザーと会話するだけではなく、オリジナル楽曲を公開、さらには自治体と連携し、地方の活性化を促すノベルゲームを展開するなどして第一線で活躍をしています。

りんなとチャットを交わすユーザーは、本物の女子高校生と会話をしているような感覚になり、気軽に会話を繰り返すことができます。また、人のように会話をすることが可能でありながら、りんなはチャットボットであるという心理が、どの時間帯からでも会話をはじめ、話したいときに話したいことを話すといったことを行えるようにしています。

通常のチャットボットが利用されるような、ユーザー自身の疑問を解決するといったカスタマーサポート的な目的ではなく、「りんなとの会話を楽しむ」という別の目的がユーザーには生まれています。

カスタマーサポートなどで利用されるチャットボットとは、ユーザーが求めるものが異なっているのです。

「共感」が生み出す新たな可能性

人のように見えるチャットボットに共通するものには、「共感」があげられます。

人は共感されると親近感を覚え、また話そう、また利用しようといった心理になりやすくなります。

カスタマーサポートの現場でよくみられるサポート型のAIとは違い、りんなのようなAI型チャットボットは感情の繋がりを重視しており、より人間らしい会話に特化しています。

プログラムであるチャットボットで共感をユーザーに提供するのは至難の業でもありますが、それを与えられたとき、そのチャットボットは爆発的な人気を博す可能性を秘めています。

そして、いずれAI分野に求められるのは、人に共感を与え、共感することのできる、コンシェルジュのようなバーチャルパートナーであることは間違いないでしょう。

 
 

株式会社コンシェルジュ 代表取締役
太田匠吾


東京大学大学院農学生命工学研究科修了。
JPモルガン証券投資銀行本部でM&Aアドバイザリー業務や株式・債券関連の資金調達業務に従事したのち、産業革新機構で企業とのプライベートエクイティ投資やスタートアップ企業へのVC投資を経験。
2016年にコンシェルジュを創業し代表取締役に就任

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