2025年のリーダーのための新常識

第1回

20世紀の会社と21世紀の会社

広石拓司 2016年10月4日
 
「大人になったら、どんな仕事に就きたい?」 
今でも多くの大人が子どもたちに、この質問をしています。学校で行われるキャリア教育でも、どんな仕事に就きたいのか考えるのがゴールになっているものがほとんどです。 
ただ、この質問には、無意識の大前提があります。 
それは、「子どもたちは、今ある仕事のどれかに就く」ということです。 
 
しかし、こんな言葉があります。 
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時(2027年)に今は存在していない職に就くだろう」 
このデューク大学の研究者のキャシー・デビットソン氏の言葉は、2011年のニューヨークポスト紙に掲載され、大きな反響を呼びました。 
2011年度に小学校に入学した子どもは、今、小学6年生。「大人になったら?」という質問がされる年頃ですが、彼らの大半は、今はない仕事に就くとしたら、いったい大人たちは何を問いかけるといいのでしょうか? 
 
この20年で、ビジネスの前提は大きく変化しました。 
インターネットは情報の価値、購買のあり方、ものづくりや金融の仕組み自体の変化を促しました。近年では、AirbnbやUberなど個人と個人の取引が大きな存在感を持つようになってきています。 
また、総人口は減少に転じ、高齢化率は4人に1人を超えています。 
さらに気候変動などの環境問題は、無視できないリスクになってきています。 
働き方や仕事に対する価値観も大きく変化してきています。 
 
これらの変化は20年前から指摘され、「対応しなければいけない」と言われ続けてきましたが、どこかで「やがて変わらなきゃいけないが、それよりも目の前のことを(今までのやり方で)しなきゃ」と考え、根本的な変化を避けてきた会社や人も多かったように思います。 
 
ただ、社会の変化が起きる時は、そのような人は一定数いるものです。 
明治維新をふりかえると、日本銀行ができたのが明治十五年、大日本帝国憲法が発布されたのが明治二十二年です。前提が変化しても、それが社会全体で新しいルールとして根付くのには10~20年程度かかるということでしょう。 
ただ、そう考えると「今までのやり方=20世紀のモデル」が通用するのは、2020年ごろまでだと考えられます。その先のビジネスは、今広がってきている「21世紀のモデル」しか通用しない時代がやってくるでしょう。 
 
この連載では、2020年よりも先の経済社会にある「21世紀の会社」で働く人にとってのキーワードをまとめていきます。それらの多くは、今、すでに始まっています。既に取り入れている方も多いでしょう。 
ただ、それが一部の人ではなく、ごく一般に、多くの仕事や暮らしの前提になる状況に向けて、改めてコンセプトや意味を確認する。そんな連載にできればと思っています。 

最初は、変動する時代を表すキーワード「VUCA」を取り上げたいと思います。
これから、よろしくお願いします。


 
 

プロフィール

株式会社エンパブリック
代表取締役 広石 拓司


1968年生まれ、大阪市出身。東京大学大学院薬学系修士課程修了。シンクタンク(三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング))勤務後、2001年よりNPO法人ETIC. において社会起業家の育成に携わる。 2008年株式会社エンパブリックを創業。「思いのある誰もが動き出せ、新しい仕事を生み出せる社会」を目指し、地域・組織の人たちが知恵と力を持ち寄る場づくり、仕事づくりに取り組むためのツールと実践支援プログラムを開発・提供している。自社の根津スタジオ、文京ソーシャルイノベーション・プラットフォーム、すぎなみ地域大学、企業のコミュニティ力向上プログラムなどにおいて、年200本のワークショップを実施。 書籍「共に考える講座のつくり方」」、日経Bizアカデミー連載「「ソーシャルビジネスが拓く新しい働き方と市場」など執筆多数。 慶應義塾大学総合政策学部、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科などの非常勤講師も務める。


HP:株式会社エンパブリック

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