株式会社エンパブリック

株式会社エンパブリック 代表取締役 広石拓司氏

公開日:2016年5月18日

〝場づくりの技術〟の提供で、起業家を支援

起業支援が主事業のようですが、具体的には。
 地域や組織の人たちが持っている考えや意見を活かして、新しく仕事を創り出すことを支援しています。起業支援では事業プランや起業家個人の支援が重視されがちですが、重要なのはどういうサポーターを得られるかだと考えています。周りで支えてくれる人たちと起業家の関係づくりという視点から、起業しやすいコミュニティや起業しやすい組織をつくるというアプローチはほとんどありません。
 弊社は文京区などと連携して、地域で起業するためのプラットフォームづくりをしています。起業希望者が地域の課題や問題意識について対話をして仲間を集めたうえで、事業プランを作成して区民に対して発表するなどのお手伝いをしています。対話の場や発表の場をつくることを通して、起業家の協力者や支援者を増やしていく仕組みづくりに取り組んでいます。単発の講座ではなく、年間プログラムを提供することで起業家育成を通した地域づくりにも貢献しています。文京区だけなく、杉並区などとも連携しています。
行政からの受託がメインですか。
 幣社はワークショップ・スタジオを併設しており、起業家だけでなく、新しい活動をしたい人やお店をつくりたい人などが勉強する講座も実施しています。また、近年は、企業から、これまでの一方的なセミナーでなく、参加者との関係づくりやニーズ把握ができる交流イベントを作りたいという依頼もあります。〝場づくりの技術の提供〟ということでは、行政、企業、個人が主な受託先です。行政は年間契約が多く、企業向けは社員が自ら運営できるような研修プログラム開発と担い手育成とをセットで提供する場合もあります。メンバーシップ制も始めており、昨年1月には会員向けに「ばづくーる」というサイトを立ち上げました。会員は、自分でイベントづくりや研修づくりのための教材や進行表、シートなどが使えます。
地域の〝場づくり〟というとNPO(非営利特定)法人などが取り組んでいるイメージが強く、株式会社は珍しいですね。
 企業研修をビジネスとして展開している会社はありますが、企業研修だけでなく、話し合いや対話の〝技術〟をしっかり商品化して多くの人に提供したいという思いがあり、株式会社としてビジネス化しました。技術として流通できる基盤をつくっていきたいと思っています。単発の市民講座の開催では収益の見込みが立ちにくいので、年間のプログラムを組んで実施しています。シンクタンクで手掛けた病院経営などの研究を福祉や地域、環境をテーマにした社会起業に役立てたいと考えた時、欧米では小さい時から人前でプレゼンテーションする場があるのに日本にはあまりなく、そうした経験がない人が起業すると自分の考えだけになり失敗することも多いとわかりました。これらの人たちを支援したいと考え会社を興しました。
今後の目標は。
 現在、年間で約240回のワークショップ(セミナー)を実施していますが、まだ参加していない人を取り込んでいくとともに、今は東京での開催が多いのでもっと地方に広げていきたいです。「ばづくーる」を始めたのも、地方にいながらオンラインでサポートを受けられるようにするためです。また、3-5年後をめどに「ばづくーる」の多言語化に取り組んでいき、最終的には米国とは違う日本発の都市コミュニティをアジアなどに伝えていきたいです。

インタビュー:小森茂

広石拓司氏(ひろいし・たくじ)
東大大学院薬学系修士課程修了。
シンクタンク、NPO法人、ETICを経て、2008年エンパブリック創業。
「思いのある誰もが動き出せ、新しい仕事を生み出せる社会」を目指し、地域・組織の人たちが知恵と力を持ち寄る場づくり、仕事づくりのためのツール開発・提供に取り組む。
慶応大学総合政策学部、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科などの非常勤講師も務める。
大阪府出身。

企業概要

住所 〒113-0032
東京都 文京区弥生2-12-3 2F-3F
設立 2008年05月02日
従業員数 5人
URL

http://empublic.jp/

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