新規創業または新分野への進出を前提としたビジネスアイデアの実現を支援する「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第79回最終選考会が、10月5日に川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で開催された。
川崎市から将来の成長企業の芽を育てることを目的に、川崎市産業振興財団が主催している同オーディションは、毎年6回行われている。全国どこからでも応募可能で、法人だけでなく個人でも参加できる。
全国から寄せられた25件の応募の中から、1次書類審査および2次面接審査を通過した6社がプレゼンを行った。成長性・収益性が見込める優秀なプランに贈られる「かわさき起業家優秀賞」に輝いたのは、東京都品川区に本社を置くアサノ不燃代表取締役の浅野成昭氏。
浅野氏は、木材の細胞に不燃成分を含浸させた、燃えにくく、腐りにくく、リサイクル製の高い不燃材料「セルフネン」の事業展開についてプレゼンを行った。同製品は2001年に木材の不燃材料として、初めて国土交通大臣認定を取得しており、同社では来年、同製品を使った世界で初めて木造14階建ての中高層建築を実現させる予定だという。「最も身近にある植物を、新技術によって新素材へと生まれ変わらせ、新産業を創出する」ことが同社の信条。浅野氏は受賞者を代表し「日本の山を元気にしたい。それが日本が元気になる道です」と力強く語った。
また、ポリカーボネイト樹脂製のパイプの中に蛍光管を装填することで、40㍗の蛍光灯器具で30㍗の蛍光灯を点灯できる節電ユニットを提案した松菱電器代表取締役の北澤光氏、クレーンの「玉掛け」技術を応用し、弁当などの天地無用食品を安定して持ち運ぶことができるレジ袋「ランチビークル」を開発したアスラビット代表取締役の長内記己雄氏が、「かわさき起業家賞」を受賞した。
2001年11月にスタートした同オーディションは、今年7月現在で応募総数1594件、受賞者数535件に達している。今年6月8日に行われた第77回最終選考会で「かわさき起業家大賞」を受賞したダンウェイ(川崎市中原区)代表取締役の高橋陽子氏が、ビジネスプランの世界的なコンペティション「インテルグローバル チャレンジ」のアジア予選である「Intel DST Asia Pacific Challenge」に出場するなど、受賞企業の活躍の幅も広がっている。
なお、第82回の同オーディションでは海外進出支援をテーマに掲げ、来年3月15日に最終選考会が開催される予定。川崎市産業振興財団では、アジア地区を中心とする海外進出に向けたビジネスプランを、1月22日まで募集している。
【主催者賞受賞企業】
▽かわさき起業家優秀賞
アサノ不燃 浅野成昭氏
▽かわさき起業家賞
松菱電器 北澤光氏
アスラビット 長内紀己雄氏
▽かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
カラット 矢野政勝氏
アークメジャー 横須賀健治氏
クエイザーテクノロジー 橋本武氏
【問い合わせ】
川崎市産業振興財団 かわさき起業家オーディション事務局
TEL 044-548-4143
audition@kawasaki-net.ne.jp
「フジサンケイビジネスアイ」