川崎市産業振興財団が主催する第68回「かわさき起業家オ ーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www. kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の最終選考会が、昨年12月4日に川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で開催された。
同オーディションは、内外からさまざまな分野のビジネスの「種」(シーズ)を募ることを目的に、2001年からほぼ2カ月 に1回のぺースで実施されている。川崎市内に限らず全国から参加者を募集しているのが特徴。
今回、審査総数18件のビジネスプランの中から、1次、2次 審査を通過した7人によるプレゼンが行われ、グリーン・シッ プ代表取締役社長の仲吉昭治氏が、「かわさき起業家優秀賞」を受賞した。
仲吉氏は、インバウンド業務(顧客からの電話をコールセンターが受ける)およびアウトバウンド業務(コールセンターから顧客に電話をかける)に対応するフルIPシステム『セールス・ジェット』について発表。
現在開発中の同システムは、「自動電話IVR(音声自動 応答)サーバー」と「電話管理CTI(コンピュータ、と電話 の統合)サーバー」からなり、見込客発掘の自動化とクロージング効率の向上に寄与する。
主なターゲットは、各種コールセンター、一般企業のお客様相談室、保険代理店および金融商品販売業者。インターネット電話の通話制御などに使われているSIP(セッション確立プロトコル)技術を用いてコスト低減を図り、従来のコールセンター向けCTIシステムの約半額で導入が可能という。
審査員の金子一徳・川崎市産業振興財団マネージャーは質疑応答で、「ハードの仕組みが素晴らしい。将来競合先が出てくることも予想されるが、ソフト面ではどんなノウハウの蓄積があるのか」と質問。これに対し仲吉氏は、「(テレマーケティングに)自動電話を活用するうえで最も重要なのは、上手なスクリプト(原稿)を作ること。興味のないお客様に、いかに早く電話を切っていただくかが当社のノウハウ」と答えた。
このほか、2人乗りで重量約250㌔㌘のコンパクトな電気自動車の開発・販売についてプレゼンを行った、みちのくトレードの佐々木豊社長を含む4人が「かわさき起業家賞」を受賞。
7人のプレゼンに続き、川崎市出身で「レンズ投影式プラネタリウム」の個人製作に世界で初めて成功したプラネタリウム・クリエーター、大平貴之氏による基調講演も行われた。
大平氏は「何のフォーマットもマーケットもない中で、自宅 の部屋でプラネタリウムを作るというハンディキャップの存在 が、新しい製品を作るうえで、大きな原動力になった」と述べ、起業家たちにエールを送った。
「かわさき起業家オーディション」は、優れたビジネスアイデアに対し、川崎市が設けている融資制度を利用した資金調達の支援やベンチャーキャピタル等との出会いの場の提供などを通じて、ビジネス・アイデアの実現 をサポートしている。
主催者賞の受賞者は次の通り。
▷ かわさき起業家大賞(川崎市長賞)/該当者なし ▷ かわさき起業家優秀賞/グリーン・シップ 仲吉昭治氏 ▷ かわさき起業家賞/みちのくトレード 佐々木豊氏、tree 金田江里子氏、匠技術研究所 谷山亮治氏、パフィリー パッド 瀬戸貴保子氏 ▷ かわさきビジネス・アイデアシーズ賞/Fes(ほーえば ーさぽーと) 長節子氏、佃 野製作所 成田幸一氏
「フジサンケイビジネスアイ」