【主催者賞受賞者】
▽かわさき起業家優秀賞/
4Dセンサー 森本吉春氏/
ベネクス 中村太一氏
▽かわさき起業家賞/サウンドインターフェイス 小熊達弥氏/ヒューマントップ 菅原秀樹氏▽かわさきビジネスアイデア・シーズ賞/チェリシェ 伊豆味きみ子氏
昨年12月に開催10年目を迎えた「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第75回最終選考会が、2月3日に川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で開催された。
新規創業または新分野への進出を前提とするアイデアの実現を支援する同オーディションは、川崎市内に限らず「だれでも、いつでも、どこからでも」応募できるのが大きな特徴。この10年間で全国から1500件以上のビジネスアイデアの募集があり、受賞者も700件を超えている。
開催に先立ち、主催者である川崎市産業振興財団の曽禰純一郎理事長は「『産業の街』として知られる川崎市でも、ここ20年間で事業所の数が15%程度減っており、新規開業数を廃業数が上回るようになった。そういう中で、いかに新しい事業の芽を育てていくかが重要になっている。当オーディションを通じて川崎市から成長産業の芽を育て、日本経済の持続的な発展を牽引していきたい」と挨拶。
今回応募のあった8社から、1次書類審査および2次面接審査を通過した5社が各20分程度のプレゼンを行い、4Dセンサー(和歌山県和歌山市)代表取締役会長の森本吉春氏とベネクス(神奈川県厚木市)代表取締役の中村太一氏が、成長性・収益性が見込める優秀なプランに贈られる「かわさき起業家優秀賞」を受賞した。
「かわさき起業家優秀賞」を受賞した4Dセンサーの森本吉春氏のプレゼンの模様
4Dセンサーの森本吉春会長は、和歌山大学システム工学部などで機械工学および光メカトロニクスを長年研究してきた経歴を持つ。09年に退職したあと、画像計測等の研究・コンサルティングを手がける一般社団法人モアレ研究所の所長を務め、今年2月1日に同社を設立。独自開発の「全空間テーブル化手法」およびLED(発光ダイオード)を用いた「光源切替位相シフト法」という革新的な技術を用い、動いている物体の3次元形状(3D)の時間的変化を計測できる「4Dカメラ」の開発と事業化についてプレゼンを行った。
すでに基礎的研究開発は終了し、関連特許も申請済み。動体の計測ができる4Dカメラに相当する製品は市場にまだなく、大きな先行メリットが期待できる。当初はすでに開発・販売している3Dカメラを中心に展開し、今年末から4Dカメラを発売する予定。FA分野や自動車、ロボットなどが有望分野という。
また、ベネクスの片野秀樹氏は、運動中には着用できないスポーツウェア「ベネクスリカバリーウェア」について発表。
速乾性や動きやすさを重視した第1世代、アスリートのパフォーマンスを向上させる機能を有する第2世代に対し、休養回復を通じて結果的にアスリートのパフォーマンス向上を目指す第3世代のスポーツウェアという位置づけで、同製品を開発・販売。オフタイムの就寝時や就寝前の休養時に着用し、自己回復能力(リカバリー能力)を妨げることなく発揮させる。国内外14の大学研究機関と連携し、研究開発を進めている。
トライアスロンや自転車競技、格闘技等のプロアスリートも同製品を採用しており、今後はスポーツ愛好者のほか、ビジネスマンなどの日常的に疲れを訴える人々にも普及を目指すという。
一方、「かわさき企業家賞」に輝いたサウンドインターフェイスは、演奏家の生演奏に最先端の3D音響システムによるバーチャルオーケストラを加え、リーズナブルな費用でコンサートを実現できる「宅配『生演奏』Figaro」についてプレゼン。会場で実際に、オーボエ奏者の増澤正晃氏が生演奏を披露するという一幕も。同社の小熊達弥社長に、来場者の投票による「会場応援賞」が贈られた。
「フジサンケイビジネスアイ」