埼玉縣信用金庫秩父支店、新井康幸支店長
■住む人の人柄踏まえた営業活動
「秩父郡市」をカバーする埼玉縣信用金庫秩父支店の営業エリアは広く、取引先は各地に点在し、訪問するために山を一つ越えなければいけない場合もある。渉外係は役席が1人、担当者が3人で、担当先すべてに定期訪問を行うのは難しかった。
そこで、新井康幸支店長は着任後まず店内の人員の配置換えに着手。一番行動力がある渉外担当者をあえて融資係の窓口に配置した。「広い営業エリアの中で、いかに効率的な渉外活動を行うか考えた結果、担当先を持たずに渉外活動ができる立場の人間を作る必要がある」(新井氏)と判断したためだ。
融資係は固定の担当先がない。新規開拓を行ったり、支店から遠い先も訪問できる。融資係としての業務をおろそかにはできないが、新井支店長は必ず半日は渉外活動を行うように指示。スケジュール管理で時間を捻出し、渉外係がなかなか訪問できない先をカバーすることで、融資残高を伸ばすことに大きく貢献している。
一方、他の金融機関との競争をにらみ、新井支店長は迅速な案件協議会の実施に取り組んでいる。担当者が訪問先での融資ニーズを発掘したら支店長、次長、融資係や融資係の役席者、渉外担当者が集まり、その案件についての方向性を決める。資金ニーズが確定していなくても、何か情報があればすぐに相談するように担当に指示。その場にいるメンバーですぐに案件協議会を開催する。
「秩父の企業の経営者は一度取引をするととても懇意にしてくれる。他行の肩代わりで融資を伸ばす手法は難しいため、新規で資金ニーズをつかめるかがとても重要。そこで、どこよりも早く提案を行うこと、相談を受けた場合には可能な限りスピーディーに対応することを心掛けている」(新井氏)わけだ。
実際、「金利は他行が低かったが、一番対応が早く、安心できた」との理由で獲得した融資案件もあるといい、「秩父に住む人の人柄」を踏まえた営業活動は成果をあげている。
渉外担当について、新井支店長は「何事にも自分から積極的に取り組んで、失敗も含めた、たくさんの経験を重ねてもらいたい」と話す。
◇(編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp
「フジサンケイビジネスアイ」