中小企業の情報化支援と、ビジネスプロデューサーの育成、派遣を行う一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会は先月20日、東京都千代田区のアットビジネスセンター大手町にて、KICK OFFセミナー・交流会を開催した。会場には同協議会員など100名近くが参加した。
今回のKICK OFFセミナー・交流会は昨年10月に一般社団法人化した協議会の活動を本格化することを内外に広くアピールする目的で開催されたもの。
初めに、協議会の事務局長である森戸裕一氏が、日本の大手企業の海外シフトや雇用整理が進む中、日本の国難を乗り切り、様々な課題を解決しながら新しい発想で時代を切り開けるのが地方企業や中小企業であると指南、情報化による中小企業の再生で日本も復活させたいと挨拶した。また、同協議会が進める「ビジネスプロデューサー」については、中小企業の新しい経営ビジョンを描けるビジネスコンサルティング力を持つコンサルタントが「ビジネスプロデューサー」の発掘、育成に今後も力を注いでいきたいと述べた。さらに、2011年度の活動方針として4つの重点事業が説明された。
1. 「コミュニティ形成」
社会問題の解決にも貢献できる地域と中小企業を連携させるCGMを活用するコミュニティを形成する。
2. 「東アジア進出支援」
建築・建設業などの東アジア進出を中・長期的視点で支援していき、ビジネスフレームワークを拡大していく。
3. 「業種(農商工等)連携」
IT、経営、人事に限らないBPのサポートの幅を広げる為の業種連携を強化する。
4. 「クラウド活用」
中小企業をさらに強くするクラウドの活用と、クラウドシステムを協議会を通じて提供し、BPの提供する付加価値増を支援する。
森戸事務局長は、小さな組織だからこそ迅速かつ有利に働けるという中小企業の「強み」を生かして中小企業を元気にしていきたいと力強く宣言した。
続いて、協議会の会長に就任した眞柄泰利氏(富士株式会社代表取締役)=写真=からは「小さな組織の非常識なスピード経営」と題する講演が行われた。眞柄会長は最近のIT環境について、アップル社のiTunesのビジネスモデルを事例として紹介、「メーカー発ではなくユーザー参加型コミュニティを取り込みながら、コミュニティが何を考えているかを巻き込みながら進める事が大切」と話し、モノが売れない時代のモノづくりのヒントを披露した。また、変化に対応するための最低限の情報基盤づくりの必要性を強調、協議会では中小企業の成功事例を共有できる仕組み作りを進めていくと語った。
会長の講演に続き、Hack For Japan、山崎富美氏から「災害時に技術者・開発者が出来ること」、トライポッドワークス、佐々木賢一社長から「情報化による被災地復興プロジェクト」、システムズナカジマ、橋本幸夫専務から「中小企業へのクラウド導入支援事例」がそれぞれに披露された。最後に、協議会の各部会から新任の部会長が発表された。会員交流部会長は加藤雅士氏(㈱目標管理トレーニング代表取締役社長)、市場開拓部会長は池田浩一郎氏(㈱手組代表取締役)、人材育成部会長は嶋谷光洋氏(㈱アイマム代表取締役社長)がそれぞれ選ばれた。
一般社団法人 日本中小企業情報化支援協議会
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷3-5-16-2F
会長 眞柄 泰利
「フジサンケイビジネスアイ」