城南信用金庫神田支店・松井慶彦支店長
東京都千代田区のJR神田駅周辺はビルや飲食店が密集し、昼間と夜間の人口に約18倍もの差があるビジネス街だ。企業だけでなく金融機関も多く、まさに「金融激戦区」。城南信用金庫神田支店は、神田駅から徒歩2分の場所に店舗を構える。
支店長の松井慶彦氏は「支店の営業課は他店舗より年齢層が若く、とても前向きでエネルギーにあふれている。一人一人を『自ら考え、行動できる、たくましい担当者』にすることを心掛け、指導している」と話す。
営業エリアは神田を中心に中央区日本橋、文京区の本郷や湯島、台東区の浅草橋と広い。どの地域も卸売業が多いものの、浅草橋は人形や手芸、秋葉原エリアは電子部品、御茶の水エリアは医療関連といったように主な取扱商品には違いがある。
商品によって資金ニーズやお金の流れが異なるため、松井氏が担当者に徹底させているのは訪問前の「予習」だ。業界の基本的な知識や標準的な経営指標、取扱商品や他社との違いなどの情報を踏まえて深い質問をすることで、訪問先の社長から「他の担当者とは一味違うな」と感じてもらえるのだという。
「予習をすることで、訪問時に平均値からかけ離れているという『異常値』に気づくことができる。例えば、ある業界では売り掛けサイト(売掛金の回収までの期間)の平均が4カ月だと頭に入れておき、訪問先の企業が2カ月だと分かれば異常さがすぐに分かる。企業にとって強みか弱みかのどちらかで、それに気づくことが重要となる」
予習をすることで担当者に興味や熱意が生まれ、訪問先企業から多くの情報を引き出せる。
「若い担当者から『御社のことをもっと知りたい。圧倒的なシェアを持つ秘訣(ひけつ)は何ですか』などと言われ、悪い気持ちになる社長はいない。初回訪問時に1時間以上も商品を説明してくれた社長もいる」という。
【プロフィル】松井慶彦
まつい・よしひこ 1995年城南信用金庫に入庫。日吉下田支店長、業務部などを経て2014年3月から現職。43歳。モットーは「精神一到何事か成らざらん」。
「フジサンケイビジネスアイ」