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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第41回

現場マネジャーのマネジメント方法(アクション・コントロール)(後編)

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「現場マネジャーのマネジメント方法として、アクション・コントロールを教えてもらいました。言葉は難しかったですが、いつも活用されていることでしたね。」

「そうなんだ。なにしろ流れ作業を開発したテーラーが採用したマネジメントをもとにした方法だからな。」

「近代マネジメントですね。もう、耳にこびりついてしまいました。」


アクション・コントロールの長所

「そういう伝統あるアクション・コントロールですが、どんな特徴があるのでしょうか?長所とか、短所とか。」

「そうだな。まず、長所から挙げてみようか。」

「お願いします。」


適正性

「アクション・コントロールとは、成功に至るメカニズムや、成功をもたらす活動・行動を明確に示し、それを実行するよう現場の働き手に直接、強く働きかけるマネジメントだ。なので、適正なアクションが取られる可能性が高まるメリットがある。」

「また、難しい表現ですね。具体的にはどういうことでしょうか?」

「例えば爆薬の取り扱いなど危険を伴う作業の場合には、専門家やベテラン作業員が確実な手順を考案し、マニュアルなどで実行を強制するだろう。」

「なるほど。言われてみれば、当たり前のことですね。」


実効性・即効性

「第2のメリットとして、期待される成果が得られる、それも早く確実に得られる可能性が高まることがある。」

「どういうことですか?」

「ある作業を改善しようとするとき、現場作業者自身が試行錯誤すると、その間は本来の仕事が疎かになり、成果が減少する可能性がある。アクション・コントロールは、改善方法は専門家やマネジャーが別途考えるので、現場作業者の時間を奪う心配がない。また、練りに練った方法を教えてもらえれば、試行錯誤するより成果を早く確実に実現できると考えられる。」

「なるほど。」


職場の安心

「第3として、関係して仕事をする作業者間の信頼感が増すというメリットが挙げられる。」

「なんですか?それは。」

「例えば複雑な仕事を多くの人々で分担して取り組んでいる場合、前工程での作業に隠れたミスがあると、後工程の仕事が台無しになるということがあるな。」

「あります、あります。そんなこと。」

「この場合、アクション・コントロールが徹底していて、前工程が指示通りの作業をしていると分かっていれば、後工程は安心して作業をすることができる。」

「余計なチェックが要らなくなり、トラブルも減りますね。」


アクション・コントロールの短所

「一方で、アクション・コントロールには欠点はないのですか?」

「いやいや、あるよ。」

「今度はそちらも、お願いします。」


使える場所を選ぶ

「最初は、アクション・コントロールは使える場所を選ぶということだ。」

「確かに、アクション・コントロールには制約が多そうですね。成功に至る方法をマネジメント側が予め定めた上で指示・命令するということですが、それができないことも多そうですから。」

「まさにそういうことだ。」

「ということは、ルーチン業務に適している。創造的な業務には向かないということでしょうか?」

「その通り。やってはならないことを禁止する効果はあるだろうけれど、やってほしいことを促す効果は難しいだろうな。」

「私もそう感じます。」


決められたこと以外には不注意になる

「それに加えて、従業員が決められたこと以外には不注意になる傾向があることが挙げられるだろう。」

「あります、あります。マニュアルやチェックリストを利用することにすると、そこに書いてあることにしか目を向けず、当然気が付いて良さそうなことにも気が付かないという現象が起きていますね。」


創造性・イノベーションの疎外

「その影響からか、創造性やイノベーションなどを疎外してしまう傾向があるともされている。」

「納得です。アクション・コントロールだと自分で創意工夫する余地があまりないからでしょうか。」


金銭的コスト

「それからアクション・コントロールは、時として大きな金銭的コストに繋がることも指摘されている。」

「そうですか?」

「我が社のように比較的シンプルな製品を製造する職場ならあまり気にならないだろうが、複雑な電子機器だったらどうだろう?」

「確かに。色々な製品の製造方法やノウハウをマニュアル化したり、徹底を期して教育プログラムを実施したりするには膨大なコストがかかりそうですね。」

「そういうことなんだ。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

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