StrateCutions (ストラテキューションズ)

マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第31回

現場マネジャーの役割(戦略対応)(下編)

「現場マネジャーの役割としての戦略対応、ご説明をふむふむと聞いていましたが、意外と当たり前のことなのですね。それだと、普段の仕事と変わらないような気がしてきました。」

「いやいや、これから話すことが本命本丸だ。まさにこの仕事が、現場マネジャーにとって最大の関門になるだろう。」

「えっ、そんなに大変なことが、まだあるのですか?」


戦略対応の大変さ

「あるとも。そもそも戦略対応とは、現場の仕事を、以前の仕事から戦略に対応した新しい仕事に変えて行くことだったよな。」

「そうでした。さっきは軽く見ていたようなことを言ってしまいましたが、自分がその場面を経験していたのでした。」

「水道器具について高級路線にシフトした時だな。」

「現場の私たちは当初、今までの製品が少し高級化するからといって大した違いがないとタカをくくっていたんです。でも、実は全く違っていました。」

「加工が難しくなるという話なら、時間さえかければなんとかなる。しかし、精度などの品質面での要求が並大抵ではなかった。」

「そうなんです。仕事の手順から管理方法まで、全てを大きく変えなければ対応できませんでした。職場の雰囲気も、ピリピリしたものとなりました。すごく、大変だったんです。」

「それを仕切っていたのが、現場マネジャーなんだ。」

「おっしゃる通りです。」

「それを経験した中川課長としては、次にまた同じような状況になたら、どのように対応する?」

「そう言われてみれば・・・。辛い経験だということだけが頭に残って、どのように対応すべきかに関する教訓までは十分に身につけたとは言えないようです。」

「それは困ったな。では、今から身につけてもらおうか?」

「分かりました。」

「俺は、戦略対応の場面について考える時に、東横線渋谷駅の東横線ホーム移設ブロジェクトが、とても良い想定事例になると思う。」

「ああ、あれですね。それまでは地上2階にあったホームを一晩のうちに地下に移動させてしまったという。」

「そうだ。戦略に対応するとは、実は地上2階にあったホームを地下に移動させるほどの意味合いがある。それは一般業務の延長ではない。プロジェクトなんだ。現場マネジャーは、自分が統括する部署に関してはプロジェクト・マネジャーとして活躍しなければならないんだ。」

「なるほど。」


プロジェクトマネジメント

「中川課長が渋谷のホーム移設プロジェクトに関わっていたとしたら、何が成功の鍵になると思う?」

「まずは事前の準備ですね。どんな仕事が必要なのかを漏れなくピックアップして担当者を決め、5H1Hを明確化していくのです。」

「そうだな。綿密な計画はプロジェクト・マネジメントの柱となる。どんな計画が必要かについて、プロジェクトマネジメントの体系から得られるところは多い。一度、PMBOKなどを読んでおくと参考になるだろう。」

「はい。PMBOKですね。」


意思決定者

「プロジェクトを成功させるために現場マネジャーが果たさなければならない役割は多い。細かく挙げていけば切りがないほどだ。その中で俺は、意思決定者としての役割を、特に挙げておきたいと思う。」

「意思決定者ですか?」

「そうなんだ。戦略対応というプロジェクトの場合、意思決定を下さなければならない場面が非常に多い。戦略対応の仕事の〆切が迫っているのに、日常の仕事で緊急対応が必要になった。どちらを優先させるか、なんてな。そのような意思決定は、現場マネジャーしか下すことはできない。」

「確かにそうですね。上司に聞いても『現場で判断してくれ』と言うに決まっているし、部下に任せて後になって大問題になっては困りますし。」

「時には部下が、それが実は後で大問題になるなんてことは全く想像しないままに勝手に判断してしまうこともあるかもしれない。そうならないようにいつも目を配りながら、必要な判断を適切に下していく。」

「本当に有能なマネジャーでなければ果たせない役割ですね。」


トラブル対応

「それともう一つ、トラブル対応も挙げておきたい。」

「確かに。プロジェクトでは想定外が当たり前ですからね。それにも対応しなければなりません。」

「トラブルというのは、多くの場合、自分以外の部署との間で起こるものだ。こちらの都合だけで解決策を考えると、ほとんどの場合、合意することはできない。Win=Winのソリューションを見つける必要がある。」

「仰る通りです。昔の高級化戦略の場合、品質向上は私たちの部署の問題ではありましたが、問題は例えば品質管理部や下流工程からの指摘という形で発生していましたから。」

「トラブル対応については、もう少し詳しく説明した方が良いだろう。それにこの問題に対応する役割は、何も戦略対応に限った話ではない。現場マネジャーの基本的役割として、次回以降、詳しく話すことにするよ。」

「分かりました。お願いいたします。」

コラムマネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。

企業概要

住所 〒160-0023
東京都 新宿区西新宿7-4-7 イマス浜田ビル 5階
設立 2015年10月1日
URL

http://stratecutions.jp/

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