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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第19回

上級マネジャーの役割(現場マネジャーのマネジメント)(中編)

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「上級マネジャーのマネジメントとして、現場マネジャーをマネジメントする役割について教えてもらっているところです。最初は『現場目標・現場戦略の策定・伝達』でした。次は何でしたっけ?」

「次は『結果のフィードバック』だ。」

「フィードバックですか。評価することですね。」

「今の常識だと、そうなるだろうな。しかしMCSの考え方では、評価を伝えるのはフィードバックの、ほんの一部分にすぎない。」

「本当ですか?」


他人を改めさせるフィードバック・自分が改めるフィードバック

「前にも言っただろう。マネジメント・コントロールとは、自分が行ったマネジメントでは期待する成果が出なかったら、成果が出るようにマネジメントを調整することなんだ。」

「ここでいうマネジメントの調整のことを、フィードバックと言っているのですね。」

「そうだ。さっき中川課長が言ったのは、部下であるマネジャーへの評価を伝えるというフィードバックだな。つまり他人に改めさせるフィードバックだな。」

「そうか、自分が改めるフィードバックもあるぞと、仰りたいわけですね。」


マネジメントにフィードバックしていく

「そうだ。例えば何があると思う?」

「先ほど現場マネジャーへのマネジメントとして『現場目標・現場戦略の策定・伝達』を教わったところです。自分では適切な現場目標・現場戦略を立て、自分では適切だと思う方法で伝達したにもかかわらず期待した成果が出なかった場合には、それを変えていくんでしょうね。」

「うん。いい感じだ。具体的には?」

「話し方を変えるとか?」

「落ち着いて話したけど伝わらなかったので、今度は怒りながら話すとか?(笑)」

「というよりも、逆ですね(笑)。成績が芳しくないので怒りながら話してしまったけど、落ち着いて話すように改めてみるということです。」

「確かに『話し方を変えてみる』アプローチは効果的だろうな。上下関係にあるマネジャー同士では『意思疎通』とはいっても上位下達な感じがありがちだ。でも、それでは本当のところでは伝わらない。双方向のコミュニケーションをし、お互いの意見を取り入れながら合意していくように、マネジメントを調整していくわけだ。」


目標・戦略にフィードバックする

「他にはないかな?」

「他にですか?思いつかないなあ。」

「今、合意のプロセスを改善するという話だったが、合意内容そのものを変えていくというアプローチもあるぞ。」

「目標や戦略を変えるのですか?それって、アリですか?」

「もちろん、全社目標・戦略を変えるとか、変えて欲しいと要望する訳ではない。でも、現場の目標・戦略を実現しやすいように変更していくというのはアリだ。」

「目標が達成できなさそうなので下方修正するなんて変更は、マネジメントの改善とは言えませんからね。」

「そうなんだ。でも、新規顧客獲得目標について今まで四半期ごとに均等に割り振っていたを、顧客開拓のための種まきに時間を要することが分かったので、年度の後半に寄せていくという判断はあるかもしれないぞ。」

「確かに、それはアリですね。」

「他にはないか?」

「新規顧客のターゲットを、ある業種から別の業種に変えるという判断もあるかもしれませんね。アプローチしていると、例えば我が社でも、顧客に関係する法律が変わったので急に我が社の特定製品への需要が増加した事例がありました。すると戦略も、そういう特殊事情に合わせてターゲットとなる顧客を変更する方が賢明でしょう。」

「そういうことも、あるよな。」

「こうやってみると、自分を対象にしたフィードバック、たくさんありそうですね。」

「そうなんだ。フィードバックして自らのマネジメントを改善していくこと。それが現場マネジャーへのマネジメントとして、上級マネジャーの役割として重要な柱となるんだ。」

「わかりました。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

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