新聞社が教える「プレスリリースの書き方」「採用されるための9つのコツ」編

採用されるプレスリリースの9つのコツを徹底解説。 記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? また、世の中にプレスリリース情報を訴求するためには、どのようなポイントがあるのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします!

  1. はじめに
  2. 1. プレスリリースの書き方
  3. 2. プレスリリース9つのコツ~ここを練れば、答えが浮かび上がる
  4. まとめ

はじめに――

プレスリリースというのは、実は非常に奥深いもので、正解がありません。 しかし、正解に近づく方法は、あるはずだ。 ということで、プレスリリースを取り上げる側としてどのようなプレスリリースを採用し、 逆に採用しないかということをここでお伝えいたします。

現在、プレスリリース自体が過酷な状況に置かれています。 ご存知のとおり、プレスリリースというのは、各メディア(TV、ラジオ、新聞、雑誌など)の記者向けに発信されるもので、 その数は限りなく出回っていて、実際に記事化、番組化される比率は100分の1程度です。 そこで必要になるのが、発信担当者の「情熱」だと思っています。 この「情熱」は記者にも必ず伝わっています。 しかしながら、伝え方がまずいと、空回りの「情熱」になってしまいます。 そうならないように「記事化されるプレスリリースにするにはどうしたらいいのか」をまとめてみました。

1. プレスリリースの書き方

まずは、プレスリリースを3つに分類します。今回は、売り込みのプレスリリースについてお話いたします。

  • 1. 売り込みプレスリリース
      → 積極的に情報を伝えるプレスリリース(会社や商品の隠されたドラマを伝える)
  • 2. こっそりプレスリリース
      → 企業の不祥事など、あまり伝えたくないことを伝えるプレスリリース
  • 3. 間に合わせプレスリリース
      → 熱意はないけど、とりあえず公開するプレスリリース

プレスリリースは、千差万別です。 書かれる内容は、新商品の開発、販売、新規オープン、大型受注などまちまちです。 これを同一のフォーマットにあてはめて書くことは、実に困難です。 そこで、6つの押さえておくべきポイントを抽出しました。

基本構成は、「見出し」「要約」「本文」「問い合わせ先」

それ以上を盛り込む場合は、別に資料を添付する。

映画に例えるならば、「見出し」はタイトル、「要約」は予告編、 「本文」は本編、「問い合わせ先」はエンドロールです。

映画に例えると

表現は簡潔、簡略に。

背伸びしたり、かしこまったり、気取ったりしない。 たとえば「××において開催された」は「××で開かれた」のほうがいい。

辞書を引いてわざと難しい言葉を使ったり、格好つける必要は全然必要ありません。 普段の言葉で書いた方がいいですね。 緊張した文章、硬い文章は、見る側にも伝わってしまいます。

「!」「絵文字」は、書き手の誘導の意図が感じられてしまうので、 記者の心理としては「誘導されてたまるものか」などと考えがちです。 使わない方が良いでしょう。

専門用語、カタカナ語は、業界内では便利ですが、一般の人には難解です。 ただし、それを意識し過ぎて、全く使わなかったり、易しい表現に寄りすぎるのもダサイ文章になってしまいます。 数学の公式と同じで場合によっては、専門用語の方が一度覚えてしまえば便利ということもあります。 その場合は、その専門用語の注釈を記載し、文章中に何回も登場させることで浸透させるという環境づくりが必要です。
(例:マイクロシーベルトという単位などは、すっかり定着しました。)

一つの文を短く。

言いたいことを細かく切って短文を重ねる。 一度書いた文章を読み返し、短くできないかを繰り返し検討する。

これは、習慣化が大事です。

見出しを大切に。

眺めてもっとも興味を引く言葉を、部外者も含めて検討する。

以前、『日本医師会と産経新聞との共同プロジェクトで「赤ひげ大賞」を創設』という記事を新聞掲載しました。 「新聞の見出しをどうするか。」で議論になり、当初は「かかりつけ医を顕彰」としましたが最終的には、 「赤ひげ大賞 創設 町の名医顕彰」に落ちつきました。 理由は、この方が字面が良い。読者に興味をもってもらえるだろうということでした。 プレスリリースにしても、掲載されることがゴールではなく、その先の受け取り手を意識することが大切です。

A4、3枚以内を目指す。

最初の1ページ、いや冒頭の数行で、記事にしたいか否かが決まってしまいます。 逆に記者がもっと知りたいと思う内容であれば、問い合わせをしますので、 詳細の資料をプレスリリースとは別に用意して、いつでも出せるようにしておく方が良いと思います。

画像、写真、イラスト、グラフなどを用意する。

画像、写真、イラスト、グラフ

2. プレスリリース9つのコツ~ここを練れば、答えが浮かび上がる。

眺められる覚悟はあるか!

沢山送られてきたプレスリリースを記事にするか否かは、初見で決めていると言っても過言ではありません。 まず、日付。これは情報の新鮮度を見ます。 続いてタイトル。これは、先ほども言ったように、興味を引くだけのインパクトがあるかどうかを見ます。

タイトルで興味を持てば、その次に以下数行を読んで大体、その段階で記事にするか否かを決めています。 さらに知りたいと思えば、記者から逆に問い合わせをします。 このように1ページ目でほぼ決まってしまいます。 まずは、眺められること。つまり左脳ではなく右脳で面白いと思ってもらえることが大事です。

相手の顔は見えるか!

言い換えれば、読んでほしい相手を意識して書いているかということになります。

例えば、ある牛丼チェーン店が新商品を出すと仮定します。 「牛丼チェーン○○屋は、秋の新商品メンマラー油牛丼(※)を発売します。期間は○月○日からで、○○な味付けで、○○円です。」 と商品の写真を載せてプレスリリースを打つ。 消費者に向けて、新商品をアピールということであれば、内容は充分でしょう。

牛肉の産地は○○で、こだわりのメンマの味付けは、特別な技術を使って・・・など、 技術開発者レベルの細かな内容を書く必要はありません。 ただ下に、問い合わせ先を明記すれば結構です。
(※)は、もちろん、架空の商品名です。

ゴールは設定出来ているか!

プレスリリース毎の発信の目的(何のために書くのか)を再確認しておくことが大切です。

  • テレビや新聞で取り上げられることによる露出拡大
  • 露出拡大による知名度の向上
  • イベントの集客力向上
  • 新商品の販売促進
  • 新技術開発による市場での企業価値向上

などの目的によってプレスリリースの表現は収斂(しゅうれん)されます。

先ほどの牛丼チェーン店の話で、「新技術の開発」や「新機種の導入」などは、 相手(読者)が消費者の場合は、「書かなくていい。」と言いましたが、相手(読者)が投資家であったりした場合は、 「新型の牛肉のスライサーを導入した。」と書いてもいいわけです。 日本経済の中で影響を与えそうなことを書くことで、 大口の投資家への貢献や新規受注といった目的が盛り込まれた意味のあるプレスリリースとなるからです。 また、「円高」に的を絞った場合だと「牛肉をどこから仕入れたか」という話を中心に据えた方が記事になるかもしれません。 そのようにゴールを設定した上で角度を変えた書き方が必要になります。

「一番」を絞れているか!

伝えたいものを全部書こうとすると、おそらく大変な量になります。 特に大きな会社であれば一つの商品やイベントをとりあげるにしても、部署が多岐にわたります。 「うちの部署の内容も入れてくれ。」「うちも。」「うちも。」となると絞り切れません。

そこで、どうやって絞るかということになりますが、これはもう切り捨てるしかありません。 当然、罪悪感はあると思います。しかし、プレスリリースというのは、頑張った部署に対する表彰状ではありません。 世の中に出すための一歩にすぎません。 その一歩で関心を持ってもらえれば、それぞれの部署に誘導でき、それぞれに関わった人たちの出番となります。

例えば、クルマ。新型車が出たとします。一つのクルマに関わる人、何千という部品。さまざまな機能。 一体何を取り上げたらよいか。そこで行き詰まる場合が多いです。 特徴的な性能をとりあげることにしましょう。 「燃費、走行距離、スピード、デザイン、価格・・・」など沢山ある中で「燃費」だと思えば「燃費」一つに絞って差別化を図る。 その一つに興味を持ってもらえれば、他の機能、性能についても知りたくなる・・・というのが心理です。 ですから、「ひとつをきっかけに問い合わせがくる。」という循環をきちんとつくることが大事です。

本番の備えは出来ているか!

プレスリリース自体が本番ではありません。 プレスリリースがうまく出来た(記事として採り上げられた)とかいうことが問題なのではなくて、 先ほど説明した「設定したゴールに近づいているか」ということが問題です。 そのためには、記事として採り上げられた後のアフターケアが重要になります。

プレスリリースが採用される多くの場合、何の連絡もなく、いきなり次の日に記事になるということはありません。 担当者に確認を取りますが、その際にどれだけ熱心に語れるか、説得させられるか、が鍵になります。 つまり、ここでいう「本番」とは、プレスリリースを見て、記者から問い合わせが来たこの段階のことを指します。 このタイミングを逃さずにエネルギーを使ってください。

また、逆に記者に電話をしてみるのもありです。 知り合いの記者がいれば、是非、直接会って説明する機会を積極的につくりましょう。

書き手の身支度は済んだか!

アフターケアが本番だとお話しましたが、記者が気になるのは、プレスリリースを通して伝わる会社や書き手です。 「どれだけ本気であるか。どれだけ熱意をもってやっているか。」が問題になります。

一例として、最後にプレスリリース担当者が自分の名前を書くときには、フルネームで明記した方がより良いです。 結果的に、自分が何者であるかということを、出しゃばらずに、なおかつ誠実に伝えていると記者は感じるからです。 苗字のみの記載は、謙虚さの表れかもしれませんが、 自信を持って、「このプレスリリースは逃げも隠れもしない俺が書いている。」という熱意と誠意を伝えるためには必要なものでしょう。 加えて、プレスリリースを書いた時の想いを一言添えてもいいと思います。

惚れさせられるか!

プレスリリースの活用目的は、『記事化される → 問い合わせがある』そこで終わりではないはずです。

先ほどクルマの話を出しましたが、今一番売れているエコカーを記事にするとします。 そこで記者は、どんな人が買っているのかと想像し、メーカーに問い合わせてみます。 メーカー担当者からの答えとして「30代の夫婦が多いです。」と答えたとします。 それだけでも構いませんが、 ここで、一言「エコカーなので都心部と地方であれば、ガソリン価格の高い地方の方が売れています。」 という答えをもらえれば、記者としてはありがたいわけです。 「なるほど、エコカーの場合はガソリン価格と売上げが比例するのだ(※)」 という新たな付加価値が見つけられるからです。
(※)エコカーの話は、例であり、実際の事例ではありません。

つまり、プレスリリースに書かれていない情報を、 記者が直接、担当者に問い合わせたことによって、自分の記事に付加価値が付けられるわけですから、 その担当者に感謝をし、信頼関係が生まれます。 その結果、その人からの次回のプレスリリースを優先して読んだり、 何か情報が欲しい時は、「こちら(記者)の方から連絡してみよう。」と立場が逆転する現象が起こるわけです。

資料は十分か!

一番いいのは、裏付けとなる数値データです。先回りしてデータを用意しておくことが肝心です。 ここまでしてもらえると、記者にとっては、手間の省ける嬉しい情報なのです。

トップと共有できているか!

プレスリリースについて、記者が一番多く質問を受けるのが、実は「社内での対応」です。 これが最も面倒くさい話です。 これがスムーズにいけば、プレスリリース配信までの期間も短縮出来ます。

そのためにしておかなくてはいけないことは、前もってプレスリリースは、 会社の使命や利益を考慮したうえで書かれたものであることをきちんとトップに説得、共有しておくことです。 これによってトップとプレスリリース担当者のコンセンサスが取れている状態となり、プレスリリースの権限が明確になります。 いろいろな部署が何か言ってきてもこれで大丈夫。担当者の仕事がやりやすくなる環境をつくっておくということです。

まとめ

プレスリリースというのは、扱い方次第ですが、 会社としてニュースを発表して記事に取り上げられるまでが役割ではないはずです。 一度、(記者と担当者という)循環を作ってしまうと、 今度は、記者の方から「何か新しい情報ないですか。」と尋ねるようになります。 つまり、プレスリリースを発行して記事にしてもらうように「お願いする」立場から、 「お願いされる」立場へと逆転するということです。

プレスリリース広報担当者としては、「ゆくゆくは、自分がメディアを動かす。」ぐらいの心意気でやってほしいと思います。

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