■傷付きにくい機能を標準装備
傷や汚れが付きにくくしたワークトップ
クリナップは、ステンレスをふんだんに使用した最高級システムキッチン「S.S.」に、傷や汚れを付着しにくくした「美コートワークトップ」を標準装備、受注を開始した。
同社は主婦に集まってもらい、キッチンに対する要望や問題点を聞き出すモニター会議を随時開催している。今回の美コートワークトップの開発は、昨年に行われた会議がきっかけだった。
その時は、キッチンを購入して2~3年が経過した20人弱のユーザーが参加。カメラで撮影した自宅キッチンの様子を基に話し合いを進めていった。そのとき、ある傾向が判明する。3分の1の家庭が、作業台を指すワークトップの上に敷物を置いていたのだ。
ワークトップが人工大理石の場合、傷は目立ちにくい。一方のステンレスは目立ってしまうので、それを防ぐために購入当初から敷物で対応していたわけだ。
気兼ねなくワークトップを使えるようにするためにも、傷が付きにくいタイプの商品開発が不可欠-。新たな目標が定まった。コンセプトは「ステンレスよりも硬いステンレス」(藤原亨・執行役員開発本部長)だ。
たどり着いた技術のひとつが、凹凸模様を与えるエンボス加工。調理中によく使うスペースに施すことによって、食器や調理器具などとワークトップが接する面を減らし、擦れ傷が付きにくく目立ちにくくした。
また、水になじみやすい親水性のセラミック系特殊コーティングを施すことによって、汚れの下に水が入り込み、汚れを浮かすようにした。落としにくい油汚れも水拭きだけで完了する。価格は横長の「I型」基本プランが99万4500円から。
クリナップは来年で創業65周年を迎える。その歴史の中ではステンレスの加飾技術やアクリル系人工大理石の成形技術を学び、日本の食・住文化に適するように“翻訳”し直し、欧米とは異なる機能的な日本流システムキッチンを生み出してきた。 こうした歴史・実績を踏まえて、同社は来年4月にイタリア・ミラノで開催される国際家具見本市「ミラノサローネ2014」に満を持して出展する。この見本市には例年、欧州の多くのキッチンメーカーが参加するが、日系の専業メーカーが出展するのは初めてだ。
展示するキッチンは、同社の最新技術とデザイン力を駆使したタイプとなるが、その原型となるのは今回開発した美コートワークトップ。井上強一社長は「日本のキッチンの素晴らしさを訴求していきたい」と意欲を示している。(伊藤俊祐)
【会社概要】クリナップ
▽本社=東京都荒川区西日暮里6-22-22
▽設立=1954年10月
▽資本金=132億6734万円
▽社員数=3288人(連結)
▽事業内容=システムキッチンの製造販売
「フジサンケイビジネスアイ」