4月中旬から新生産ラインが稼働するクリナップ岡山工業の津山工場
住設機器大手のクリナップの100%子会社であるクリナップ岡山工業(岡山県勝田郡勝央町)は3月15日、同社津山工場(同県津山市)で2月から進められていた増築工事の竣工式を行った。
竣工式には同社代表取締役の山田雅二氏、クリナップ代表取締役社長の井上強一氏、津山副市長の大下順正氏、増築工事を担当した熊谷組の大田弘代表取締役社長など約40人が列席し、神事と新設ラインの起動式および祝賀会が開催された。
クリナップ岡山工業は1981年に岡山工場(同勝央町)の操業を開始し、クリナップの西日本における生産拠点としてシステムキッチンの組立などを行っていた。2005年に稼働した津山工場は、ユニットバス部品の生産を手がけていたが、生産合理化のため2010年に操業を休止していた。
2011年3月に発生した東日本大震災で、岡山工場は被災を免れたが、被害の大きかったクリナップ主力のいわき事業所(福島県いわき市)からの部品供給が止まり、約1カ月間の操業停止を余儀なくされた。そのためクリナップはBCP(事業継続計画)の観点から、いわき市に集中した生産体制を再編。津山工場における製造品目をシステムキッチン部品に転換し、3年ぶりに同工場を再稼働させる。
今回の工事では、工場建屋を増築し、システムキッチンの基幹部品であるステンレスカウンター(天板)の生産ラインを新設。4月中旬に本格稼働する同生産ラインは、天板の材料であるステンレス材の切断機、打ち抜き加工を行うタレットパンチプレス、曲げ加工に用いるベンダー、溶接機などからなるが、板材の研磨作業等に産業用ロボットを導入し、自動化を進めるなど、新たな試みも行われている。
津山工場における天板の生産能力は月産3000枚。普及機種の「ラクエラ」、主力の中級機種「クリンレディ」、高級機種の「S.S.」などに用いられる天板に対応。岡山工場では、これまでクリナップのいわき事業所から天板の供給を受けていたが、4月中旬からは津山工場で生産された天板を用いてシステムキッチンを組み立て、関西圏を中心とする西日本地域に製品を出荷する。
津山および岡山工場のシナジー効果により、クリナップ岡山工業における厨房機器の生産台数は月産2万9000台に達すると見込まれる。2013年度内にも実施される津山工場の第2期工事を経て、岡山でシステムキッチン生産の自己完結を図る。クリナップのいわき事業所とクリナップ岡山工業の生産台数比率を、従来の8:2から6:4へとシフトさせ、バランスの取れた東西二拠点体制の構築を目指す。
クリナップの2013年3月期における連結予想売上高は1123億円で、その7割強を厨房機器が占める。同期におけるシステムキッチンの予想販売台数は21万3000セット。同社はシステムキッチンで業界3位だが、普及機種および中級機種のシェアを着実に伸ばしており、それぞれ19.5㌫、16.6㌫に達している(2012年9月現在)。なかでも2013年2月にモデルチェンジを行った「クリンレディ」の売れ行きが好調で、同社はクリンレディを核としたシステムキッチンのシェア向上を目標に掲げている。
クリナップでは現在、全社を挙げて生産・物流・サプライチェーンの強化を進めており、今回の津山工場の増築工事もその一環。一方、2012年7月には同社最大のショールーム「キッチンタウン・クリナップ・大阪」も大阪・梅田阪急ビルオフィスタワーにオープンしており、製販一体で西日本の営業面のテコ入れを行っていく考えだ。
「フジサンケイビジネスアイ」