【プロフィル】
藤川 幸廣氏 ふじかわ・ゆきひろ 明治大卒。1979年大沢商会入社。84年フォトロンに移り、93年同社映像システム課課長。95年10月にデジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)を設立し、社長就任。54歳。福島県出身
ウェブやゲームのデジタルクリエイターに特化した人材派遣業を中心に、自社でもデジタルコンテンツ制作を展開するイマジカデジタルスケープ(東京都渋谷区)。コンテンツ市場の拡大に合わせて成長してきた同社の活躍のフィールドは、スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及などにより拡大するばかりだ。創業者でもある藤川幸廣社長に、今後の成長戦略を聞いた。
--人材派遣ビジネスの現況は
「創業した1995年は、マイクロソフトの基本ソフト『ウィンドウズ95』が爆発的にヒットし、大手企業がホームページを作り始め、ソニーの家庭用ゲーム機『プレイステーション』が発売された。クリエイターが圧倒的に不足した時代に、多くの人材を輩出してきた。その後もウェブ市場は拡大し続け、ゲーム分野でも3D(3次元)映像や交流型のソーシャルゲーム、スマートフォン向けが普及。人材が足りない状況は今も続いており、現在は業界に900人程度を派遣している」
--なぜ人材が足りないのか
「登録している派遣スタッフは約2万人を数え、毎月100人以上ずつ増えているが、業界が必要としているエンジニアやプログラマーが不足している。電子工学やコンピューターを学んだ学生の就職先として、コンテンツ業界の優先順位が低いことも課題だ。クリエイターのスキルアップに貢献するとともに、就職イベント開催を通じて能力の高い人材確保を目指す」
--自社でのコンテンツ制作ビジネスも拡大している
「社内の制作部門に約100人の社員がいるが、来年の4月までに40人増やし、ゲーム制作を強化する。また、2年前に傘下入りした映像のプロ集団であるイマジカロボットグループのノウハウを活用し、動画を加えた技術でも先行している。エンターテインメントだけでなく、広告や産業用コンテンツなどの分野も伸ばす。派遣人材のスキルアップのためにも、まずは自ら技術を磨くことが大切だ」
--ゲームなどでは海外市場の成長も著しい。進出などは考えているか
「アジアで一部のコンテンツを作ってもらっているケースはある。これまで海外はコストの安い開発委託先という位置付けだったが、中国をはじめ、今では大きな市場となっている。具体的なことは言えないが進出は当然検討している。日本の技術レベルは高いが、海外のようなスタークリエイターがいない。ぜひ日本からスターを生み出したい」(池誠二郎)
イマジカデジタルスケープ
▽本社=東京都渋谷区道玄坂1-10-8渋谷野村ビル8階
▽資本金=3億6000万円
▽売上高=56億900万円(2011年3月期)
▽従業員=641人
▽事業内容=デジタルクリエイターとITエンジニアに特化した人材コンサルティング事業、コンテンツ制作事業
「フジサンケイビジネスアイ」