3D設計図をはじめ建築物のあらゆるデータをまとめあげるBIMの技術者育成トレーニング=北海道旭川市
テレワークコンサルティングを手掛けるワイズスタッフ(奈良県生駒市)など4社は、建築物の3次元(3D)設計データ、原価計算、施工から維持管理まですべての情報をまとめあげる「建物情報モデリング(BIM=ビム)」ソフトウエアの技術者を育成し、同ソフトを使い、主にテレワークによってBIMをワンストップで、施工主などに提供する事業を立ち上げた。育児や介護で会社勤めが困難な人も含めて技術者として育成することで、今後、建設業界で見込まれるBIMの需要拡大に対応する。2020年までに50人の技術者を育成し、1億円の受注を目指す。
ビジネスモデルは、ワイズスタッフなど4社が、設計業務発注企業からBIMを受託する形をとる。ワイズスタッフがテレワーカーへの発注・管理、応用技術(大阪市北区)がソフトウエア販売、SEEZ(東京都葛飾区)が操作トレーニング、オートデスク(同中央区)がソフトウエア制作をそれぞれ担当し、各社の強みを生かし、協力して取り組む。
16年度に北海道旭川市から人材育成業務を受託して実証実験に取り組み、すでに2人の技術者がスターバックスコーヒージャパン(同品川区)の店舗設計データ修正を請け負っている。旭川市に続き、奈良県天理市からも人材育成を請け負い、研修を経た5人の技術者が今月から設計業務をスタートさせている。
BIMは、建築物の3D設計データ、材料、コストなどのあらゆる情報を取り込み、仮想空間上に建築物をつくる手法。平面図では分からなかった設計上の齟齬(そご)が一目瞭然となる。関係者間でイメージ共有が容易になるほか作業のやり直しも減るため、工期短縮や現場の生産性向上が期待されている。東京五輪・パラリンピックのほとんどの施設でBIMが適用され、今後の需要拡大が見込まれている。
ワイズスタッフの田澤由利社長は「仕事をしていない女性の技術者が活躍する場をつくり、建設業界の人手不足と長時間労働を是正する働き方改革を実現するため、4社で協力していく」と話している。
「フジサンケイビジネスアイ」