飲食業界に特化した人材紹介サービスを手がけるクックビズ(大阪市北区)は、飲食店向けに、産地で採れたての野菜をネット通販で直送するサービス「ファームビズマーケット」を始めた。現在、岡山県や香川県など中四国を中心に約20の農業生産法人や道の駅と供給契約をしているが、年内には100法人まで増やしたい考えだ。
パソコンやスマートフォンからファームビズマーケットの専用サイトにアクセスし、会員登録を済ませて利用する。トップページに最新の販売品目が写真つきで掲載されている。希望する商品の写真をクリックすると、内容量や栽培法、収穫期間、生産者名が生産者の顔写真とともに表示される。希望する数量をクリックして申し込む。
申し込み後すぐに収穫し、中1日で届けられる。価格はスーパーマーケットなどで販売されているものとほぼ同じ水準だが、送料は別で産地ごとにかかる。ただ、産地ごとに検索でき、複数の商品を1カ所から調達できれば送料を抑えられる。農産物の販売価格や数量、規格は生産法人が自由に決められる。飲食店側からはサイトの利用料金は取らないが、サイトに出店する生産法人側は売上高の20%前後を利用料として支払う。
一般的に外食店の多くは食材を卸売業者や小売店から調達するのがほとんど。しかし価格競争が激しく、メニューの単価を上げづらい環境のなか、新鮮で安心な食材を求める消費者のニーズは高まっており、「外食店のなかには、生産者から直接野菜を仕入れることで、他店との差別化に成功しているケースも見られる」(同社)という。一方の農業生産法人にとっても鮮度が勝負の野菜を素早く全国に販売できるなどのメリットがある。
クックビズは、すでに全国各地の自治体などを通じて農業生産法人にサイトの利用を働きかけている。課題は出店している農業生産法人が現在、西日本中心になっていること。例えば高知県でのトマトの収穫期は6~10月ごろだが、同社には「飲食店から通年で扱ってほしい」との声が数多く寄せられている。
同社は今後、東日本の農業生産法人にもサービスの利用を働きかけ、端境期でも確実に出荷できる態勢を整える。
クックビズは2007年に設立。飲食業界特化型の人材紹介サービスとしては最大手で、全国5000社、10万店舗の飲食店を顧客に持つ。
13年には産直野菜ネット通販サービスに合わせて就農支援事業「ファームビズ」をスタート。高知県土佐町の農業生産法人に、若者を対象にしたインターンシップ(就業体験)を実施してきた。14年にはこの取り組みを全国に拡大、「47ファーム」として、各地の農業生産法人での就農体験を提案している。
「フジサンケイビジネスアイ」