人工知能(AI)開発ベンチャーのカラフル・ボード(東京都渋谷区)は、食品卸の三菱食品(東京都大田区)と提携し、消費者の味覚を学習させることで各自の好みに合った食品を自動的に選ぶサービスを始めた。カラフル・ボードが開発したAI「SENSY(センシー)」をプラットフォームとして活用。24日から伊勢丹新宿本店の催事で初公開した。今年中に他の分野でもサービスの提供を始めるとともに、来年には東南アジアでも展開する。
人工知能(AI)「SENSY」を搭載したタブレット端末で各自の色やブランドなどの好みに合った服を提案する=東京都新宿区
消費者に店頭で3種類のワインを試飲してもらい、それぞれに対してどう感じるかをタブレット端末上でアンケートに答えてもらう。甘味、酸味、苦み、渋み、余韻、好みの6項目について選択。その結果を基に、利用者の好みに合わせた最適なワインを選び出す。AIを活用することでソムリエのような役割を果たす。
味覚は定量的に測定するのが困難で、同じ食品でも人によって感じ方が異なることから、科学的な解析が困難だった。センシーは利用者の嗜好(しこう)や感性をビッグデータとして蓄積し、数値化して学習することで一人一人の味覚に合った食べ物や飲み物を提案する。
同社は慶応大や千葉大とセンシーを共同開発し、2014年11月からスマートフォンのファッションアプリサービスを開始。ファッションeコマースサイト運営会社、伊勢丹新宿本店などに導入されてきた。色やブランドなどの消費者の好みを学習することで、利用者に合った服や装飾品を提案する。現在、国内外約5000のブランドと提携している。
後、コスメ、ヘルスケア、音楽、旅行などあらゆるライフスタイルにも応用し、今年中に他分野向けのサービスを配信する。渡辺祐樹最高経営責任者(CEO)は「大手企業30社以上と提携の話が進んでいる」と話している。
国内で改良を重ねながら海外も視野に入れ、来年には成長市場である東南アジアへも進出する。2年後には売上高を20~30倍に伸ばし、新規上場を計画している。
「フジサンケイビジネスアイ」