マレーシア・マラッカ市で「マレーシア版くりんかロード」開発にかかわる覚書を交わして握手する環境緑化の楳木真一取締役(前列右)=7月7日
環境緑化保全コンサルタント(福岡県宗像市)は、石炭灰を使用して雨水を透水し保水する「くりんかロード工法舗装」の海外市場開拓に乗り出した。2日からモンゴルで事業化調査に着手するほか、ベトナムでは現地提携先を探す。マレーシアではすでに現地企業と技術移転で覚書を交わしており、先行する3カ国で早期に試験事業に入りたいとしている。
同工法は、石炭火力発電所から発生する石炭灰を原料にセメントと配合、雨水を透水する層と保水する層で構成。表面層は雨水を透過し保水層に誘導。ここで雨水をためながら余剰水を地中に浸透させる。
貯水効果により周辺への雨水流出を防ぐほか、保水効果で表面温度が低下しヒートアイランド現象を抑制する。産業廃棄物として埋め立て処理される石炭灰の有効利用にもつながる。
こうした利点をアピールして海外進出を目指す。
モンゴルでは5日まで、ウランバートル市で事業化調査を行う。4月の訪問時に同国で発生する石炭灰がくりんかロードに使えることが分かっており、今回は九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ(K-RIP)の助成事業として透水性と保水性を調べる。また現地パートナーを探して具体的なビジネスモデルを描く。
同社が最初に売り込んだのはマレーシア。K-RIPが環境産業交流で協定を結ぶマラッカ州を昨年12月に訪問。関心を示したエンジニアリグ企業のメンスリン・グループと今年7月、「マレーシア版くりんかロード」の開発と技術移転で覚書を交わした。
同国の石炭火力発電所で発生する石炭灰を使って、求められる機能を発揮できるくりんかロードを生産できるか調査し、今後の提携の可能性を探る。
マレーシアに続きベトナムも訪れ、ホーチミン市とハノイ市でプレゼンテーションを実施。環境対策に有効と判断した同国政府からプロジェクトの立ち上げを要請された。これを受け14~18日に両市を訪れ、提携先候補と会って覚書を交わしたいという。
熱帯モンスーン気候で高温多雨の東南アジアにとって、くりんかロードの圧倒的な保水力は魅力。また各国とも石炭火力に電力を頼っており原料の石炭灰は豊富。このため、くりんかロードへの需要は旺盛と判断、各国に売り込んでいく。
「フジサンケイビジネスアイ」