株式会社Maple Systems 代表取締役 望月祐介氏

公開日:2017年7月27日

既存の仕組みを壊し、エンジニアのために再実装する

業務内容は?
現在、技術者常駐型の技術支援サービス(SES)を中心に展開しています。顧客先に常駐している当社のエンジニアは、真面目にコツコツ仕事に取り組むタイプ。お客様から言われたことだけをやるのではなく、仕事を進めるうえで言うべきことはきちんと言う人が多いですね。
今後、この業界では多くの仕事がAI(人工知能)に置き換わり、自動化されるようになっていくでしょう。しかしAIは最適化には強くても、お客様に意見を言い、問題を提起するという部分を置き換えることはおそらくできません。したがって、そういうことがきちんとできるエンジニアが今後生き残っていくのだと思います。
7月7日に新サービス「PRO―SESS(プロセス)」を開始した
「PRO―SESS」はシステム開発の元請け会社と下請け会社が第三者を介さずに直接交流できるプラットフォームで、元請け会社が「PRO―SESS」に登録されているエンジニアを直接検索し、仲介業者が介在することで生じる中間マージンなしで契約が可能です。
現在「PRO―SESS」に登録されているのは元請け会社が約20社で、企業所属のエンジニアが約3500名。開発の現場でエンジニアを必要としている元請け会社と、仕事を探しているエンジニアとのマッチングを図ります。エンジニアを必要とする元請け会社からのみプラットフォームの利用料という形で料金をいただくシステムで、エンジニアを雇用している下請け会社は料金無料。契約書類の作成や経費精算などのやり取りをWeb上で行えるバックオフィスサービスも、無料で提供しています。
まずはゲーム系、Web系から展開を始め、その後、エンジニアが多数必要とされる基幹系や業務系のシステム開発案件にも対応していく考えです。
エンジニアを探している元請け会社のメリットは?
たとえばSESの仲介業者は、即日からせいぜい来月初までに動けるエンジニアは紹介してくれますが、2カ月先の案件で動けるエンジニアは探してくれません。また元請け会社にはエンジニアが単独で紹介されるだけで、当初は本人がどんな会社に所属しているかも知らされません。そのため、仲介業者からは元請け会社に対して「現在何人のエンジニアが現場に入っているが、2カ月後にこんなスキルを持つ人たちが何人稼働できるようになる」という、チーム単位での提案も行われていなかったのです。
「PRO―SESS」では、元請け会社がこうしたすべての情報を知ることができるので、「そういうスキルを持つ人がこれだけいるのなら、こんな仕事をお願いしよう」という、従来にはないような動きも起きてくるのではないでしょうか。
SESのどんな現状を変えたいと思っているのか
従来の仲介ビジネスの下では、下請け会社に所属するエンジニアが育ちにくいという弊害もあります。仲介業者が高いマージンを取るために、若手エンジニアがなかなか現場に入れず、即戦力となる経験者が優先される傾向が見られます。コストが適正なら経験の浅い若手にもできる仕事は数多くありますが、中間マージンが上乗せされてコストが合わないために、若手が簡単な仕事から始めてスキルを向上させることができず、結果的に成長の機会を奪われているのです。
加えて言えば、現場のエンジニアたちが残業続きで苦労している現状などが、仲介業者から元請け会社にきちんと伝えられていないこともあります。こうした現状の仕組みが変わらないままでは、エンジニアの長時間労働やうつ病などの問題を解決し、労働環境を改善することは難しいと思います。
新たにどんなことに取り組んでいくのか
システム会社の下請け会社は、いままで元請け会社と直接取引したことがないとか、創業後間もないことが多く、信用力が不足しており、自分たちがどんなことができるのかという説明もうまくできていません。そういう部分について、当社が代理を務める形で、信用のシェアリングを進めていきたいと思います。
今後「PRO-SESS」を世に広めていくなかで、第一に手がけたいのは、いま下請け会社が非常に困っている支払いサイトの問題解決。エンジニアを雇用する下請け会社への入金は、元請け会社から仲介業者に料金が支払われたあとになるため、下請け会社の経営は苦しい状態に置かれています。そこで、下請け会社が保有する売掛金を当社が譲り受け、支払い期日前に支払いを行うファクタリングという手法を活用したファイナンス事業を展開します。
これにより、元請け会社からの支払いを待たず、下請け会社に出来るだけ早く支払いをする仕組みを構築中で、下請け会社は運転資金の借り入れ負担を軽減し、プラスの投資ができるようになります。
通常はファクタリングによって下請け会社に前払いを行う際、金利が差し引かれますが、当社は金利ゼロでファクタリングを実施する考えです。この事業によって利益を上げるのではなく、業界を変えていくツールとして「PRO-SESS」を広く使っていただくために、ファイナンス事業を活用したいと考えているからです。
今後の展望は
私自身、1人のエンジニアとして、いつかまた楽しかった現場に戻りたいという気持ちもあります。ところが現在のような雇用環境では、誰も現場に戻りたいとは思わないでしょう。
本来、SESの現場ではエンジニアを中心にさまざまな話が進んでいくことが多いものです。「こういうものを作りたい」という元請け会社の漠然とした要望をエンジニアがかみ砕き、具体的なシステムに落とし込んでいくわけですから、エンジニアがもっとお客様との距離を縮め、楽しく仕事ができるように業界を変えていかなければなりません。そうした思いから、当社は「既存の仕組みをぶっ壊し、すべてのエンジニアのために仕組みを再実装する」ことを理念に掲げているわけです。
今後新たにファイナンス事業を進めていくにも、まとまった資金が必要です。そこで、「この業界を変えていこう」という当社の理念に賛同していただけるベンチャーキャピタルからの資金調達を完了しました。2021年を目標に、東証マザーズへの株式上場を目指しています。
インタビュー:ジャーナリスト 加賀谷貢樹

望月祐介
熊本県出身。2005年、九州工業大学を卒業。
システム開発会社2社に勤務したのち、フリーランスを経て、2009年に同社を設立し代表取締役に就任。

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