あゆみトラスト・ホールディングス株式会社 代表取締役社長 高岡壮一郎

公開日:2015年2月10日

社会的課題を解決する「新財閥」を目指す

三井物産を辞めて起業した理由を教えてください
 当社、あゆみトラスト・ホールディングス株式会社(旧アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社)は「社会的課題をビジネスで解決する」「個人をエンパワーメントする」の2つをミッションとしています。

 2005年の創立以来、富裕層を対象に"IT×金融"を強みとして、フィンテック領域で、投資助言業・メディア業等、グローバルなサービス展開をしています。
 前職の三井物産は、今では巨大な財閥系総合商社ですが、もともとは、明治維新という「時代の転換点」、新しいステージへと移ったタイミングに創業した社員18名のベンチャー企業からのスタート。そこから日本の発展、人口増加社会を支えてきました。

 私が起業した2005年は人口減少社会への「時代の転換点」でした。日本が新しいステージに転換するタイミングに、社会的課題をビジネスで解決する新しい事業で社会を変革し続け、これからの日本を支える財閥(コングロマリット)となることを目指して、あゆみトラストグループを創業しました。
事業についてお聞かせください
 富裕層の投資と消費を活性化すれば、日本経済に大きく貢献できると考え、創業以来10年一貫して富裕層向けに事業を展開しています。富裕層は準富裕層も含めると415万世帯、483兆円の金融資産を有しています。人口減少社会の日本にあって、前年比22.3%も人口が増加している隠れた成長セクターです。

 2006年、金融資産1億円以上の富裕層限定SNS「YUCASEE(ゆかし)」を立ち上げました。その中で、「日本の証券会社を通じずに、海外の金融商品をダイレクトにアクセスしたい」という富裕層のニーズを知りました。

 ピーター・ドラッカーらが指摘しているのですが、日本の金融業界は世界に遅れ、ガラパコス化していると言われており、個人投資家は不便を感じていたわけです。そこで2008年、海外投資を専門にした投資助言会社ヘッジファンドダイレクト株式会社(旧アブラハム・プライベートバンク株式会社)を立ち上げました。大手法律事務所三社の協力を経て、日本の証券会社を通さずダイレクトに海外金融商品を紹介するグローバルなプラットフォームを構築、その関連でゼロから香港で証券会社も立ち上げました。
 この同社はお客様に支持され、5年3カ月の短期間で累計877.4億円の助言実績を達成し、日本最大級のサービスに急成長しました。
規制の壁が大変だったようですね
 はい。個人投資家のグローバル化を支援していたのですが、2013年10月に金融当局から行政処分が出て「大手投資助言会社が6か月間の業務停止へ」と日経一面・NHK等で大きく報道がされました。当社に前後して、日本居住者に海外金融商品をダイレクトに紹介する会社が、9社も業務停止処分になりました。

 多くの会社は事実上解散しましたが、当社は社員が辞めることもなく、6か月間の業務停止処分を終えた2014年4月にはお客様を9割残した状態で業務再開を果たすことができました。現在は新規顧客を募らず、規制以前にご契約いただいた顧客の皆さまに対する投資アドバイスのみを提供しています。

 なぜ、業界9社が規制を受けたかと言えば、
 金融業者を規制する業法である金融商品取引法の制定時点では、「ダイレクトに海外金融商品を買いたい」という個人投資家のニーズを全く想定していなかったからと専門家に言われています。

 新しい国民ニーズと役所が激突した例として、「規制は憲法違反である」と訴え最高裁で行政に対して勝訴したネット薬通販のケンコーコム、ベストセラーになった「海賊と呼ばれた男」のモデルとなった出光石油、クロネコヤマトのヤマト運輸の例があります。当社はこれらの先行事例を吟味した結果、最終的には争うことを選択せず、業務停止を受け入れる道を選びました。

 その後、金融当局と1年以上の協議を重ね、必要な金融ライセンスを取得しました。
今後の展開を聞かせてください
 創業時の「アブラハム」という社名は、欲望の五段階説で有名なアメリカの心理学者アブラハム・マズローの名前を由来としています。

 衣食住や安全、自己承認欲求を満たした後、人は最後に、「自己実現」を求めるという説です。そんな個人の自己実現を応援していく企業でありたい、との想いを社名に込めました。

 当社の自己実現・目標は新しい事業を通じて社会的課題を解決し、100年以上続く財閥を築き、これからの日本を支えることです。この志は、ミッション・ビジョン・バリューとして全社員で共有し、日々実践しています。

 世の中をより良くしていきたいと集まってくれた仲間と一緒に、さらなる日本の発展に貢献していきたいと思っています。

あゆみトラスト・ホールディングス株式会社
代表取締役社長 髙岡 壮一郎(たかおか・そういちろう)氏

1999年東京大学卒業後、三井物産株式会社に入社、海外投資審査、情報産業部門における新規事業立ち上げやM&Aに従事。2005年、あゆみトラストグループ(旧アブラハムグループ)を起業、ヘッジファンドダイレクト株式会社等のグループ各社の代表取締役社長に就任し、フィンテック領域にて富裕層向け金融事業・メディア事業を行う。

・世界10万本以上のファンドデータベースから独自アルゴリズムで最適なファンドを選別、中立的な立場から投資家に助言を行うフィンテック企業ヘッジファンドダイレクト株式会社は、投資助言契約額累計895億円以上(2016年12月末現在)の実績を有し、海外ファンドを専門とする個人投資家向け投資助言会社として業界最大手。
・純金融資産1億円以上の富裕層限定オンライン・プライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」は会員資産1兆円以上で国内最大規模。
・富裕層向けオンラインメディア「ゆかしメディア」は月間100万アクセス以上で国内最大級。
・同グループ子会社として証券会社を香港に設立する等、グローバル金融に関する豊富な知見を有すると共に、「金融×IT」のフィンテック領域にて18年の経験を有する。

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