
プロモツール・井上賢一社長
心地よい匂いで消費者を刺激し、購買や来店につなげる-。そんな販売促進手法などを売り込むベンチャー企業がプロモツール(東京都文京区)だ。井上賢一社長は、映画や食品などの多彩な業種で蓄積した導入実績を土台に“匂い販促策”の一段の普及を狙う一方、香りを学習や仕事の集中力アップにつなげる新展開も視野に入れる。
--ニッチ(隙間)な事業にこだわる理由は
「プロモツールの創業前は、10年にわたり海外で仕事をした。中でも印象に残っているのが、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)の仏現地法人社長として1986年から91年にかけてパリに駐在していた時代だ。当時、資生堂が日本の化粧品ブランドを認知させようと、富士山や着物などの伝統美を印象づける売り場を、百貨店のプランタンなどに作って成功した。ところが、それをまねたカネボウが苦戦。『二番せんじは通用しない』という厳しい現実を目の当たりにする中で、独創性重視の欧州市場開拓に腐心した。その経験がニッチな事業につながった」
--香りとの出合いは
「ポーラを退職した後、99年に米国の化粧品サンプル専業メーカーの販促物を国内に卸す代理店『カラープレリュード・アジア』(現プロモツール)を創業した。代理店業務を通じて、映像と香りを連動させる試作機と出合い、おもしろいと感じた。1台購入して活用方法を探っていたとき、映画販促策の相談が広告会社から舞い込んだ」
--その映画とは
「子供たちが不思議な菓子工場に招待される2005年公開の米国映画『チャーリーとチョコレート工場』だ。広告会社経由で配給元のワーナー・ブラザースに、映画館内にチョコレートの香りを放出する販促策を提案したところ、話題を呼び、集客に結びついた。香り事業を本格化させる転機となった」
--仕組みと実績は
「人工的な香りを放つ液体を染みこませた繊維をカートリッジ(着脱式部品)に詰め、送風機付き『放香(ほうこう)システム』にセットし、風の力で送り出す。映画の場合、この機器を館内の四隅に設置した。それ以外にも、江崎グリコやタイトーが香り発生装置を店頭販促やイメージ戦略で利用するなど、累計導入実績は約6000件に達している」
--今後の目標は
「香りで脳を刺激し、集中力や記憶力を高める可能性に注目している。大学の医学部と連携し、その効果の科学的な実証を計画中だ。実証データを踏まえ今秋から、香りを受験生や会社員、スポーツ選手の集中力向上に役立てるサービスを提案したい」(臼井慎太郎)
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【プロフィル】
井上 賢一
いのうえ・けんいち 明大商卒。1967年ヤンマー入社。ポーラ化粧品本舗などを経て、99年カラープレリュード・アジアを創業、2002年にプロモツールに社名変更。67歳。群馬県出身。
【会社概要】
プロモツール
▽本社=東京都文京区本駒込6-5-3 ビューネ本駒込
▽設立=1999年
▽資本金=1000万円
▽従業員=8人
▽事業内容=香りを利用した販促・演出策の提案事業など
「フジサンケイビジネスアイ」