ネットプロテクションズ 柴田 紳社長兼CEO
■ネット通販 「後払い方式」導入支援
経済産業省の調べによると、国内のインターネットショッピング市場は2010年で7兆8000億円にのぼる。いまや、大半の企業にとってネット販売は成長戦略に欠かせない。一方で、競争激化により実績を伸ばしにくくなっている。売り上げ拡大の秘策は意外なところにあった。顧客側の料金支払い手段に「後払い方式」を加えることだ。
--後払い方式の導入で売り上げが伸びるのはなぜか
「顧客の根強いニーズがあるからだ。大手調査会社のマクロミルを通じて行ったアンケートで浮き彫りとなった。ネット購入の決裁方法は、クレジットカード払い、後払い、料金代引きを含む前払いと、おもに3通りがある。それらのうち、本当に利用したい決済方法は何かとの質問に対して、22.2%が後払いを希望している。また、希望する決済方法がなかったら、購入をやめるか他のサイトで購入して離脱するという人が75.6%に達した。これを見ると、後払い方式がなければ約2割の顧客を逃しかねない」
--後払い方式を導入すれば実際に売り上げが伸びるのか
「当社のNP後払いサービスの導入によって伸びた事例は数多くある。一例を挙げると、靴やバッグを販売するダイアナは導入後の売り上げが前年同月比で約20%増となった。ほかにも、支払い関連の業務負担が大幅に軽減されたなど、喜びの声をいただいている」
--後払い方式の仕組みは
「まず、NP後払いサービスの導入企業からネット購入客の注文情報が当社に入る。次に、当社が蓄積した1500万人のデータなどの信用情報に基づき、顧客の支払い能力などの与信審査を行って、結果を企業に通知する。問題がなければ、商品が企業から顧客に出荷される。注文を受けてから商品を出荷するまでに24時間もかからない。その後、当社が企業に代わって請求書を顧客に送る。一方で、当社が商品購入費を企業に立て替え払いする。そして、顧客がコンビニエンスストアや銀行、郵便局を通じて代金を当社に支払うという流れだ」
--代金未払いのリスクもあるのでは
「もちろんある。リスクは当社がすべて負う。与信から請求業務、リスク負担まで責任をもつネット決裁会社は国内で当社だけだ」
--サービス料金などは
「企業からは、支払金額の2.9~5%のほか、請求書の発行・発送とコンビニなどの決済手数料として1件につき190円をいただく。顧客の決裁費用負担は原則としてなく、一人当たり5万2500円までNP後払いサービスを利用できる」
--事業の手応えは
「ここ数年で急激に伸びている。サービス導入企業が1万社、利用顧客が1500万人に達した。従来は中小規模の企業がほとんどを占めていたが、最近は後払い方式の導入による売り上げアップの認知度が高まり、口コミや紹介によって大企業の導入が増えてきた。今後も事業が拡大していくと確信している」
--ほかの事業展開は
「従来は企業が商品やサービスを一般消費者に販売するBtoCの分野を手がけてきた。これに加えて2年ほど前から、企業と企業が取引するBtoBの分野にも進出している。すでに250社がサービスを導入し、20万社近くの利用実績があり、滑り出しは順調だ。BtoBサービスは非常に大きな可能性を秘めているので、今後、力を注いでいく」 (川野智弘)
◇【会社概要】
▽本社=東京都中央区銀座1-10-6 銀座ファーストビル4階((電)03・5159・7881)
▽設立=2000年1月
▽資本金=3億8500万円
▽従業員=60人(2011年1月1日)
▽事業内容=後払い決済サービス、企業間決済サービス、クレジットカード決済サービスの運営
【プロフィル】柴田紳
しばた・しん 一橋大学を卒業後、大手商社に入社。ITX(現オリンパスビジネスクリエイツ)に転職後、ネットプロテクションズへ出向し、ゼロから現在の事業の立ち上げに携わる。2004年4月に社長就任。36歳。福岡県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」