炎天下に作業服を着込み現場に向かう双葉屋の加藤代表取締役=埼玉・所沢
■断熱塗装 まず海外でエコ啓発
埼玉・所沢で外装工事請負に特化したリフォーム業を営む双葉屋(加藤祐治代表取締役)は、海外に成長の踏み台を求めて着々と準備を進めている。
同社が営業の主力の一つにしているのは、断熱効果の非常に高い外装塗装。これをシンガポールなど、強い日差しが照りつける東南アジアの国々で広め、日本への逆打ち効果も狙う。
「ある交流会で知り合った、日本でも不動産ビジネスを行っているシンガポール在住のカナダ人投資家から、弊社が施工している断熱塗装に高い評価をいただき、今年3月の初めにシンガポールへ行き建設関係者などと話をしてきました」と加藤氏。同国では成長に伴い高級マンションの建設が相次いでいるが、強い西日が嫌われ西向きの物件が売れ残ることが多く、この解決策として断熱塗装に関心が高まったという。
双葉屋が得意としている熱塗装は、外部からの熱気や冷気に対しては遮熱効果が、また、室内の適温を外に逃さない断熱効果があり、冷房時には20%、暖房時には40%の節約が可能で、耐久性にも優れるという。
加藤氏がアピールする「節電効果」や「親環境性」などがシンガポールで関係者に認められ、次のステップに進もうとした矢先に東日本大震災が起きた。発生からしばらくは予定していた業務が滞り、もちろんシンガポールでの話を進めるどころではなくなった。その一方で、揺れで損傷した屋根の修復依頼が引きも切らない。「現場に出て、コンビニエンスストアにも食べ物がなく、作業員の昼食もままならなかった」と振り返った。
震災後、原発事故で節電が国内の急務となり、断熱塗装の効果をうたい拡大を図ったところ、かなりの手応えはあったという。だが、大きなリフォーム需要が生まれる流れはないので「震災後の影響が落ち着いたらシンガポールの話を進めたい」と加藤氏。
「シンガポールでエコ重視のビジネスモデルを作りたい。シンガポールでは製造業も盛んでプラントの遮熱などでも需要はある。ここでビジネスモデルを確立できれば、なにごともシンガポールを手本にしているインドネシアに可能性が生まれる。インドネシアには富裕層が多くチャンスも大きいと思う」。最近はシンガポールの関係者らと頻繁に連絡を取り合っているという加藤氏。年内にも投資を募るような準備を進めたいとしている。(松本良一)
「フジサンケイビジネスアイ」