リヴァックス 巻口成憲専務
「成長経済から成熟の時代にシフトした今こそ、古いものに新しい命を吹き込み、住まいに求められる『個の満足』に応えたい」。中古不動産のリノベーションを手がけるリヴァックスは、2005年にベンチャーとして立ち上がり、暮らしの質にこだわる単身者のニーズをつかんで右肩上がりの成長を続けてきた。素材にこだわり、自分らしさを実現する暮らしを提唱。平均年齢は30代前半というスタッフが若い発想力を結集し、不動産業界における新たなビジネスモデルを発信している。
--なぜリノベーションに力点を置くのか
「耐震偽造問題が発覚した05年、不動産業界、建設業界に対する信頼は地に落ちた。スタッフはそれぞれ新築住宅を手がけていたが、業界の将来に限界が見える中、ぬくもりを感じる良質な中古住宅を流通させていこうと会社を立ち上げた」
--既存住宅との違いは
「これは国土交通省のアンケートだが、借家に住んでいる人の41%が現状に何らかの不満を抱えているという。そこで私たちは、良質な中古物件に『味わい』『伝統感』『質感』『本物感』といった付加価値という味付けをする。個性の感じられない画一的なワンルームマンションが従来型とすれば、これは『自分らしさ』という住む人の求めに応えるもの。ニッチなビジネスとして他社と差別化を図ることにもなる」
--ターゲットは
「20~30代の単身者。まさに『個』にこだわりを持ちたい世代で、私たちの独自性を維持するためにも、ある意味でマーケットは絞って考えている。扱う物件は東京23区内にある20~30平方メートルのワンルームが中心となるが、相場よりも1万~1万5000円高い賃料で展開できている。住み心地が資産価値を生むという、われわれのコンセプトが受け入れられている結果だ」
--今後の事業展開は
「2500人の会員組織によって、どこも空き部屋待ち状態。こだわりがあるからこそ、良質な物件の確保は容易ではないが、一室一室を蘇らせるこれまでのビジネスモデルに加え、今後は一棟物件も実現したい。この約2年間の契約物件は79件だが、『中古不動産再生メーカー』として新しい市場を確立するためにも、一棟物件の実現は不可避で、専門チームも立ち上げた」(長谷川周人)
■会社概要
▽本社=東京都渋谷区桜丘町13の3((電)03・5458・7001)
▽設立=2005年12月
▽資本金=7000万円
▽社員=37人
▽事業内容=不動産の売買・賃貸・管理、仲介・保有・運用など
【プロフィル】
巻口成憲氏 まきぐち・しげのり
立教大大学院修了。宅地建物取引主任者。ファイナンシャルプランナー。国内不動産会社を経て、国際コンサルティングファームの現プライスウオーターハウスクーパースに勤務。MBA取得後、現デロイトトーマツコンサルティングに転職した後、リヴァックス設立に参加。40歳。新潟県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」