【プロフィル】牧野朗子
まきの・あきこ 米USバークレー大学院修了。日本SEなどでソフトウエア開発責任者などに従事した後、1994年メディア・ナビゲーション取締役。2006年9月から現職。55歳。東京都出身。
■印刷ソフトの可能性を広げる
気に入った画像を印刷しアルバムに残したりオリジナルCDに貼り付けたりする-。ソフトウエア開発のメディアナビ(東京都渋谷区)は、パソコンで編集や印刷を楽しむ多彩なソフトを生み出し続けている。「個人で作品を記録したり発信したりする可能性を広げたい」と意気込む牧野朗子代表取締役に、ソフト市場の攻略法を聞いた。
--印刷関連ソフトに注力するきっかけは
「1990年代のデジタルカメラ市場創生期にさかのぼる。その当時、撮った画像をパソコンに取り込めるデジカメがカシオ計算機から誕生。そのヒットを契機に、デジカメの使い方に関心が集まった。その頃から、自身の姿をカメラで撮影してシールに印刷された写真をつくる機械『プリクラ』(プリント倶楽部)もはやり出した。そうした中で96年に開発したソフト『シール倶楽部』が売れ、累計出荷数量で約30万本に達した」
--シール倶楽部とは
「当社は、ソフト開発会社『メディア・ナビゲーション』の事業を引き継ぎ2006年に設立した。シール倶楽部はその前身の会社が開発した。デジカメで撮った画像をパソコンに取り込みプリクラ風シールを作成できるソフトだ。ヒット以来、印刷関連ソフトに注力している」
--その後の開発戦略は
「ソフト開発は、コンテンツ(情報の内容)を入手する『インプット』と、入手作品の見せ方を広げる『アウトプット』の両面から進めてきた。7月には、ビデオカメラなどの動画から最高のシーンを抜き出し、画像加工から印刷まで行う動画編集ソフトを商品化した。一瞬の自然な笑顔を残したい消費者のニーズに応えて、事業初年度で3000本の販売をめざす。今後とも、1年に1つは新しい商品開発にチャレンジしたい」
--当面の課題は
「当社が顧客に配信するメールマガジンの購読者数は、現在13万人。年齢別にみると40代が最も多く、55%を占める。一方で若年層が少なく、10代が3%、20代で1%、30代も17%にとどまった。30代以下は、ネットによる情報検索や電子メールしか使わない傾向が強い。この影響で、ソフトを店頭やダウンロード販売を通じ購入する市場が頭打ちの状態にある」
--その打開策は
「携帯電話販売台数に占めるスマートフォン(高機能携帯電話)の割合が5割を超え、ネット経由でソフトが使える『クラウドサービス』の利便性に注目が集まっている。両分野に踏み込んだ新ビジネスを育てることが、若年層を引き込むための課題だ。社内でアイデアを出し合って形にしたい」(臼井慎太郎)
【会社概要】
▽所在地=東京都渋谷区東1の10の9 リマージュK
((電)03・5467・1541)
▽設立=2006年9月
▽資本金=1000万円
▽従業員数=10人
▽事業内容=一般消費者向けソフトウエアの開発や販売など
「フジサンケイビジネスアイ」