エコスタイル・木下公貴社長
エコスタイルの主力事業は土地付き太陽光発電への投資だ。出資者が太陽光パネルなど発電に必要な設備と土地をまるごと購入。発電した電気は、20年間一定価格で買い取ることを国が約束する再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を活用して電力会社に売電、そこから得た収益が還元される仕組みだ。表面利回りは不動産を上回るため人気が高く、業績も順調に拡大している。木下公貴社長は「年金不安に備え投資しようというサラリーマンが多い。買い取り価格が引き下げられたとしても、工事費の低コスト化などによって高水準の利回りを確保できるようにしたい」と語る。
--太陽光事業者の倒産が急増している
「2012年7月にFITが導入されたことでメガソーラーの建設は一気に進んでいった。しかし、買い取り価格は大きく引き下げられ、事業に適した平らで広大な土地もなかなか見当たらなくなった。バブルが弾けた状況で、メガソーラーは終わったという感じがする」
--こうした中、エコスタイルはどういった形で事業を展開しているのか
「個人顧客に対し『不動産投資のような形で年金不安を乗り越えていきましょう』と提唱している。不動産と異なるのは“空室リスク”がない点。気象予報士などと連携しながら発電量をしっかり把握しており、安定的な投資を実現している。また、ウェブに全面特化し集客しているため、コスト競争力も高い。結果として20年間にわたって無料の定期点検を行えるようになるなど、CS(顧客満足度)向上にもつながっている」
--実際の顧客の反応は
「『こういった土地を活用して投資活動を行える』といったようにパネルの設置後をイメージできる全国の情報を、常時1000件程度、用意している。毎月の問い合わせは500件程度で、このうち契約につながるのはおよそ30%だ」
--FITの買い取り価格はさらに下がる見通しだ
「現在の平均的な表面利回りは11%。工事費を低減すれば、それに近い水準は確保できるはずだ。不動産投資に比べ利回りはよく地球温暖化問題の解決にも貢献できるため、投資家は増え続けると予測している」
--今後の課題は
「『手持ちのお金で対応したい』『もっと気軽に投資したい』といったニーズに応えるため、太陽光ファンドの運用にも積極的に携わっていく。投資資金の回収を早めることでリスクの低減を目指した、新たなタイプも立ち上げた。自家消費型の太陽光発電システム事業にも力を入れる。これは工場の屋根などにパネルを設置し、自社で使用するエネルギーをまかなう仕組み。経済性も高く、売電単価の下落に伴い自家消費の流れは加速していくだろう。16年3月期の売上高は132億円だったが、一連の取り組みによって早い段階で200億~300億円企業を目指したい」
【会社概要】エコスタイル
▽東京本社=東京都千代田区丸の内1-4-1 丸の内永楽ビルディング20階
▽設立=2004年10月
▽資本金=3億円
▽従業員=296人
▽事業内容=太陽光発電システムの施工・販売
◇【プロフィル】
木下公貴きのした・まさたか 神戸大経営卒。金融機関を経て、2008年、社長としてエコスタイルに入社。47歳。福岡県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」