■起業ノウハウとものづくり融合
起業支援のリバネス(東京都新宿区)と金属加工を手掛ける浜野製作所(同墨田区)は、共同でものづくりベンチャーを育成支援する。リバネスの持つ起業支援ノウハウと浜野製作所のものづくりの技術とを融合させ、浜野製作所内にあるものづくりベンチャー支援拠点「ガレージスミダ」に国内外のベンチャー企業を呼び込む。リバネスの丸幸弘CEOは「常時、30社程度を受け入れ、1~2年後には2~3社がここから世界へ巣立ってほしい」と話している。
「ガレージスミダ」に入居するチャレナジーの清水敦史社長(中)、同社を支える浜野製作所の浜野慶一社長(左)、リバネスの丸幸弘CEO=東京都墨田区の浜野製作所
浜野製作所はリバネスを引受先とする第三者割当増資を実施し、資本金を1000万円から1500万円に増やした。
リバネスは、ユニークなアイデアや事業化プランを持つ国内外の起業家に、浜野製作所のガレージスミダへの入居を呼びかける。浜野製作所は技術面だけでなく、ガレージスミダを本社所在地として登記するなど、会社設立をサポートする。同時にリバネスもベンチャー企業に投資する。
シンガポールなどでは、社会的課題を解決できるアイデアをもとにしたニュービジネスが次々と立ち上がっている。ただ、特許や資本などはあるが、ものづくりの基盤がないことが課題とされている。
2014年春に開業した「ガレージスミダ」にはユニークなベンチャー企業6社が入居している。このうち、風力発電ベンチャーのチャレナジーは14年10月にガレージスミダを本社に置き会社を設立。台風でも破損しにくい風力発電用の風車を開発し、沖縄県南城市で8月から実証試験を始めた。清水敦史社長は「第2のチャレナジーが生まれるためにも、ぜひ成功させたい」と意気込む。
リバネスと浜野製作所の協業は12年頃、リバネスと関わり合いが深い大学の研究者のニーズにあった実験器具などの開発を浜野製作所に依頼したところから始まる。その経験から「研究者が中小製造業にアクセスする手段がなかった」(丸CEO)ことがわかった。
浜野製作所がある東京都墨田区は高度成長期には1万社近くの町工場があったが、円高による製造業の海外移転に加え、後継者難などから廃業が相次ぎ、現在では約2800社にまで減った。
浜野慶一社長は「東京には時代の先端をいく研究者や起業家も多く、彼らと連携できれば、日本の新たなものづくり産業のあり方が提案できる」と前向きに捉えている。
「フジサンケイビジネスアイ」