「『ちびまる子ちゃん』の放送は毎回見て、動画のできばえを確かめることにしている」と話す大庭伸氏
テレビ番組などのアニメーションを制作する日本アニメーション(東京都中央区)の作画部(同多摩市)で、テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」などに登場する人や物の動きがスムーズに、自然に見えるかなどを検査する。
アニメは人や物の動きを少しずつ変えた絵を、パラパラまんがのように、1秒間に最高24枚連続で流して動きを表現する。1回30分の放送には、約4000枚の絵を使う。絵は10人以上で手分けをして紙に鉛筆で描く。
放送の約2カ月前に、映像に加工する前の多くの絵が届く。それをめくりながら、人物など本物のようになめらかに動いて見えるかをチェックする。
例えば、主人公のまる子がふり向く場面では「左右の目の動きが同じように変わるか、頭の線がゆがんでいないかに注意する」。少しでもぎくしゃくしていると、消して描き直す。
登場人物の気持ちがよく伝わるように手直しすることもある。「線の太さを変えたり、直線と曲線を使い分けたりする」
1回の放送分の絵を調べるのに約2週間かかる。その後、それぞれ別のチームが着色し、景色を入れ、アフレコを経て番組が完成する。「後に続く工程に間に合うように、必ず計画から遅れないように仕事をする」ことを心がけている。
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【プロフィル】大庭伸
おおば・しん 東京アニメーター学院でアニメ制作を学び、卒業後、別の会社でアニメの作画などを担当。1995年日本アニメーションに入社。48歳。沖縄県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」