オーダースーツの佐田(東京都千代田区)は直販体制を強化する。現在は国内36カ所で直営店舗を展開しているが、2~3年後をめどに50カ所まで拡大する。これによって知名度を向上させ、収益力を高めていく。
自社のオーダースーツをまとって、富士山の山スキーに挑戦する佐田展隆社長
佐田のオーダースーツの工程は、各顧客から採寸したデータを踏まえ、CAD(コンピューター利用設計システム)上でオリジナルのパターンを作成。それを仙台と中国・北京の自社工場に送ると、CAM(コンピューター利用製造システム)が生地一枚一枚を裁断し、縫製ラインで縫い上げられる仕組みだ。生地の企画から縫製・販売までを自社内で行うため、中間流通コストを極小化。リーズナブルな価格でスーツを提供することが可能になる。
現在は年間12万着のオーダースーツを生産。提携先のテーラーと工場直販ショップ「オーダースーツ SADA」を通じ販売している。
2016年7月期の売上高は約27億円。さらなる成長戦略を歩むには、ブランド力の強化が必要という考えから、直販体制を強化する。
同社は大手紳士服チェーン店の中で、若者向けの売り上げが伸びている店舗に着目。その近くにあるビルの上層部に、テナントとして入居するという戦略を主に展開している。これによって「スーツを購入したいが、既存品では合うサイズがない」といった顧客層を開拓し、売り上げ増につなげている。
佐田展隆社長は「50店舗はあくまで通過点。レディス向けスーツも好調なので、その時点で別業態なども検討していきたい」と話している。
佐田は社会貢献活動の一環として、プロ野球の千葉ロッテマリーンズ、東京ヤクルトスワローズ、Jリーグのベガルタ仙台、バスケットボール男子・女子日本代表などに、公式の場で着用するオーダースーツを提供している。
また、佐田社長は自ら広告塔役を担っており、スキーノルディック複合競技経験者という経歴を生かし、オーダースーツを着用して富士山の山スキーに挑戦したりしている。
「フジサンケイビジネスアイ」