特集

「職場のうつ病」は企業の根幹を揺るがす大きな問題だ。社内で重要なポストに就く人や、現場の貴重な戦力になっている人がうつ病で休職したり、退社することは会社にとって大きな損失になる。最先端の検査・治療技術を導入し、うつ病の治療に取り組む新宿ストレスクリニック名古屋院の渡邊真也院長に、ビジネスマンのうつ病の実態と職場での対応について話を聞いた。

――ビジネスマンのうつ病は増えているのか

新宿ストレスクリニック 名古屋院 院長 渡邊真也(わたなべ・しんや)氏

渡邊 真也 氏
新宿ストレスクリニック
名古屋院 院長
2008年3月、大分大学医学部卒業。松阪厚生病院、新宿ストレスクリニック アイランドタワー勤務を経て、14年11月、新宿ストレスクリニック名古屋院院長に就任。15年9月から新宿ストレスクリニック名古屋院院長。精神保健指定医、日本医師会認定産業医、日本精神神経学会会員、米国臨床TMS学会会員

「日々診療を行う中で、実感として増えています。以前は、ビジネスマンではない人が、仕事以外のストレスが原因で発症したとみられるうつ病が多かったのですが、最近は、仕事のストレスが原因でうつの症状に苦しみ、来院される方が非常に増えています。個人的な印象ですが、当院の場合、うつ病と診断される人のうち、10人中7、8人が仕事にかかわる何らかの理由を挙げています」

――どんな原因があるか

「仕事に関するストレスでいえば、出世したことや仕事の内容が変わったこと、職場の人間関係などさまざまです。たとえば昇進が原因でうつ病になる場合にも、いくつかパターンがあります。これはエリートに多いのですが、今までは上司の言うことを聞いていればよかったのに、昇進したことをきっかけに、自分が部下にあれこれ指示しなければならない立場になってしまったため、うつ病になることがあります。また部署の異動をともなう昇進で環境が大きく変わり、うつ病になることもあります。職場の人間関係が原因になるケースも多いですね。同じ仕事をするにも、人間関係が良ければ、仕事が多少きつくても頑張れますが、逆に人間関係が悪いと、働くこと自体がつらくなりストレスが増大します」

――うつ病はどう進行していくのか

「最初は2、3日会社を休むといった段階から、徐々に欠勤が増えて仕事に行けなくなり、休職してしまうというのが典型的なパターンです。もちろん治療がうまくいき、復職して頑張っていらっしゃる方も数多くいます。ところが最近のうつ病には、従来の治療ではなかなか治りにくいケースがあり、人によっては薬の副作用や依存状態がひどく、仕事への復帰が難しくなる場合もあるのです。治療の結果、職場に復帰できても、また休職してしまうこともあります。うつ病が寛解したことで治療を終了し、薬をやめてからうつ病が再発するケースもあれば、薬を服用しながら職場に通う中で、眠気がするとか頭がボーッとするなどの副作用で業務に支障が出て、仕事を続けていくことが困難になるケースも見られます」

――職場はどう対応すべきか

写真:光トポグラフィー検査装置

うつ病の診断を補助する先端医療技術の光トポグラフィー検査装置

「最近では、初診だけでなく、治療の途中段階でも、本人と職場の方が一緒に受診されることが少なくありません。職場の方から治療の経過について質問があったり、『私たちはどう対応したらいいのか』とか『本人が職場に復帰した場合、仕事はどの程度から始めさせたらいいか』という相談を受けることがよくあります」

「職場に復帰してすぐに大きな負荷を与えると、うつ病が再発してしまう可能性があるため、本人と相談のうえ、最初はなるべく仕事量を抑えることが重要です。また、本人が異動をともなう昇進が原因でうつ病になったのであれば、たとえば昇進はさせるが異動は見合わせるなど、可能な範囲で環境の変化を和らげることも考慮する必要があります。その一方で、同じ環境にある人すべてがうつ病になるわけではありませんから、(医療機関は)本人が『環境の変化に耐えられるような自分』をつくることを、1つの治療の目的に置くべきだと私は思います」

「社内で重要なポストに就いている人や、現場の貴重な戦力になっている人がうつ病で休職したり、復帰ができないという事態は会社にとって大きな損失です。そこで企業の経営者や管理職の皆さんにお願いしたいのは、従業員のストレスチェックをなるべく早く行うこと。うつ病の早期発見で早期治療が可能になり、予防にもつながります。その次の段階として、従業員が実際にうつ病になってしまった場合、治療方法は非常に重要です。うつ病の治療は薬物療法が基本ですが、うつ病の種類によっても人によっても、薬の効き具合や副作用の出方が異なるため、薬物以外の治療を考慮したほうがいいケースも出てくるでしょう。そこで当院では、自由診療になりますが、アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可され、全米600カ所以上の医療機関に導入されている機器を用い、副作用のほとんど出ない磁気刺激治療(TMS)とカウンセリングを組み合わせた治療を行っています」

――9月1日に新宿ストレスクリニックから新宿ストレスクリニックに院名を変更した

「最近、ストレスが原因で生じるうつ病が増えていますが、ストレスはうつ病以外にも、頭痛や心身症、体の各部で生じる原因不明の激しい痛みといったさまざまな病気をもたらします。そこで当院では、薬でもなかなか治らない慢性化した頭痛に焦点を当て、磁気刺激治療による頭痛治療を新たに開始しました。今後は、ストレスを予防することでうつ病の発症を防ぐ予防医学の分野にも力を入れていきたいと思います」

新宿ストレスクリニックは本院のほかに、名古屋院、梅田院(大阪市)も開院している

クリニック概要

医院名:医療法人社団翔友会 新宿ストレスクリニック
開院:2013年6月
院長:川口佑
所在地:東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー24F
診療科目:内科・精神科・心療内科
診療時間:10:00~20:00、土・日・祝日も診療
URL:http://www.shinjuku-mental.com/

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