多言語化を制するものがグローバル化を制する

第9回

世界のインターネット使用言語はどうなっているか

上田輝彦 2017年1月13日
 
前回、世界の主要言語を挙げたが、インターネット上の主要言語はどうなっているだろうか。2016年6月現在*、世界のインターネットユーザーは約36億人、そのうち英語が約9.4億人(全体の26%)、英語以外が26.6億人(全体の76%)という状況になっている。

ここ7~8年、英語と非英語の比率はさほど変化していないが、全体数が右肩上がりで伸びているので、非英語のユーザーの絶対数が圧倒的に増えている。上位10言語の内訳 を見ると・・

1位: 英語 9.5億人
2位: 中国語 7.5億人
3位: スペイン語 2.8億人
4位: アラビア語 1.7億人
5位: ポルトガル語 1.5億人
6位: 日本語 1.1億人
7位: マレー語 1.1億人
8位: ロシア語 1億人
9位: フランス語 1億人
10位: ドイツ語 0.8億人

という順番だ。おおよそ聞いたことがある言語ばかりだろう。

しかし、前回述べた、ここに登場していないアジアの主要言語が、近い将来、所得の高まりと共にネットユーザーになっていくのは確実である。実際に、2016年インドでは10億人が無料で使える4G通信サービスが提供開始された。これから現地ネットユーザーが巨大な数になっていくだろう。

こうした状況は、世界各国の言語で聖書が翻訳され印刷され始めた15世紀の印刷革命当時に似ている。当時ラテン語を読めないと聖書は読めなかった。が、印刷技術が発達し、色んな言語で聖書が翻訳され読まれるようになった。

一方、インターネットの初期は米国で生まれたこともあり圧倒的に英語で使用される状況だった。が、現在では文字コードが整備されて非英語の文字化けが減り、あらゆる言語でWEBが読み書きでき、まさに百花繚乱たる言語世界がネットに登場するようになった。

これからは、英語一元化と同時進行する多言語化の時代に入っていく。事実を伝え合うビジネス現場では英語が使われるが、感性、ニュアンスを大事にする内容を伝え合うインターネット上の現場ではドンドン母語が使われていくだろう。そしてメディアもこれからは多言語で発信するものが増えていくだろう。

ちなみに、東北弁の聖書を読んだことがあるだろうか。この聖書では「愛」をどう表現しているか。愛とは「でぇじにすること」である。そして「心の貧しい人々は幸いである」は「頼りなぐ、望みなぐ、心細い人は幸せだ」となる。この方が腹落ちしてピンとくるという人も多いのではないだろうか。

今後、感性を大事にするマーケティングがメインストリームになっていく。すると現地語=母語によるマーケティングが基本になっていくだろう。すでに米国の大手企業は多言語マーケティングの重要性を認識し大分前に始めている。

日本企業は英語で何でも済ませる時代が終了していることに早く気付かなければならない。


* http://www.internetworldstats.com/stats.htm

 
 

WIPジャパン株式会社
代表取締役会長 上田輝彦(うえだ てるひこ)

福井・兼業農家出身。中・高では卓球選手。数学・世界史・世界地理を愛好。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

一般社団法人クールジャパン協議会 専務理事

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