多言語化を制するものがグローバル化を制する

第3回

視座を高く、視野を広く、視点を柔らかく(中編)

上田輝彦 2015年10月22日
 
前回に続き、「グローバル化をチャンスとして捉え、活用する」ために必須の考え方について述べる。

【視野を広くすること】

「視野を広くする」とは、例えば、自身の事業領域とは異なる事業領域のこと、自身の市場とは異なる市場のことなどにも関心を持ち、知ろうとすることである。

身近な競合や既存顧客の観察・分析には熱心なのに、近接の事業領域や市場についてはほとんど見ていない人が多いのは非常に多く見られるのは残念なことだ。

常日頃から視野を広く持つよう心がけていれば、例えば、顧客属性が類似していて事業領域が重ならない企業であれば連携してお互いの顧客にお互いの製品やサービスの提供を試みる、自社が提供している本質的価値と親和性の高そうな市場があれば製品やサービスを少し変えれば新たな顧客になってもらえるのではないかと考えてみる、など、打ち手が倍増、三倍増になる。

既存の事業領域・市場にこだわっていると、無理な製品/サービス開発や顧客単価アップの施策を考えることに陥りがちで、自社にとっても顧客にとっても望まない結果になりがちである。

その点、視野を海外へと広げることで、多くの方が大きな可能性に気づくだろう。海外には、日本の数世代前のスペックの製品が今まさに必要とされている市場がまだまだある。

また、国内に関しても、自社あるいは自社の事業領域では当然のことと思っている考え方やノウハウが、異業種には新鮮な価値として提供できる場合もある。

視野を少し広くするだけで、新たな投資をせずとも業績にプラスになるアイデアはたくさん見つかる。さまざまな市場や業界に関心を持ち、自社の提供価値とそれらを組み合わせたらどうなるかという思考実験を繰り返すことを、ぜひ試していただきたい。

前回と今回の考え方を習慣づけるだけで、発想が時間的にも空間的にもかなり拡がりを持つようになるはずだ。

現在の日本で流行っているものを過去の日本に持ち込んだらどうなるか、過去に日本で流行ったものを全盛期の大英帝国に紹介したらどうなるか、大航海時代のポルトガルは現在の世界ではどこに相当するか、さらに当時ポルトガルで流行したコンセプトをそこにも導入できないか、などいろいろと考えを巡らせば、必ず自社の現状に応用できるアイデアが湧いてくるはずだ。

次回は、これをさらに強力なものにする考え方「視野を柔らかくする」を紹介する。
 
 

WIPジャパン株式会社
代表取締役会長 上田輝彦(うえだ てるひこ)

福井・兼業農家出身。中・高では卓球選手。数学・世界史・世界地理を愛好。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

一般社団法人クールジャパン協議会 専務理事

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