製造業者が知るべきテクニカルマーケティングのツボ

第7回

開発段階からマーケティングを考える

後藤 亘 2018年4月2日
 

製造業の場合、商品開発とマーケティングを切り離して考える事は出来ません。
常にこの2つはセットで計画を作り、運用する必要があります。
さらにこのマーケティングは、用途開発を意識した活動にしないと、商品開発の成果をビジネスとして刈り取ることは出来ません。


マーケティングと商品開発の考え方には、皆さんご存知のように2つの考え方があります。

1つは、自社の技術や商品が前提の考え方がプロダクトアウト。
もう1つが、顧客や需要重視の考え方でマーケットイン。

この2つは、皆さんもご存知かと思います。


ここでよくある議論は、このようなものです。
「従来の日本のものづくりは、高い技術を武器にしたプロダクトアウトで成功してきた。
しかし、他国の技術がキャッチアップしてきた現在、マーケットインに移行しなければ生き残れない。」


私は、この考えには常々疑問を持っています。

というのも、この2つのうちどちらか片方だけしっかり運用すれば、売上も安定して競争力を保てる、というわけではないと考えるからです。

プロダクトアウトでビジネスがうまく回らない、本当の理由

いくらマーケットインの考え方で市場要求を集めて、その需要に見極めをつけたとしても、それをプロダクトアウトとする能力がなければ商品は存在出来ません。

もし本当にプロダクトアウトの考えかたが上手く行っていないと考えるのならば、それはその商品を載せてお客さんまで運ぶベルトコンベアが機能していない事に原因があります。


この場合のベルトコンベアは、商品をお客さんに届ける仕組み、つまりマーケティングの活動を意味します。
B2Bの製造業や加工業であれば、用途開発を促す活動になるでしょう。

中小製造業では、このモノを売る仕組みであるマーケティングが出来ていないために、良い技術を持ちながら、新規取引先が獲得できずに下請けから脱却できずにいたり、売り先からの過度な値下げ要求に苦しんだりするケースが多いのではないでしょうか?

商品開発段階からマーケティングを考える

B2Cの小売業が、様々なメディアを活用した集客や販売方法でビジネスを拡大しているのと同様に、B2Bの製造業でもきちんと潜在顧客の特定やメディア向けの戦略を作るべきでしょう。

そして、その戦略の運用過程で市場の要求を吸い上げ、自社の技術の深化や商品開発に生かすフィードバックを作らなければなりません。


さらに商品開発段階から、その戦略にどう落とし込むか、どうメディアを活用していくか、ベルトコンベアで動かしながら(マーケティング活動を行いながら)商品設計を行うという事について時間軸にそった戦術を作る必要があります。


このように、商品開発、用途開発、マーケティングの3つはお互いに影響し合いながら同じベクトルで動かす必要があります。

是非、皆さんの開発に関する流れ、運用方法を考えてみてください。

 
 

プロフィール

株式会社ルーセントコンサルティング
代表取締役 後藤 亘

大学卒業後30年間、主に通信、半導体業界における外資系企業でキャリアを積む。

エンジニア時代には、携帯端末向けやガスメーター向けなど数多くの半導体設計に携わる。その後、そのような電子部品をセットメーカーに対して拡販するマーケティングに異動。そこでは、技術とアプリケーション(使用用途)の両方を熟知した顧客提案が功を奏し、多くの分野で新規案件を獲得してきた。

また、40歳を前に大学院に入学、技術の商業化やマーケティングを学術的に身につけてMBAを取得。その理論的裏付けと専門技術的な知識を、その後の数社の外資系企業でのマーケティング活動に活かした、技術マーケティングのプロ。

現在は、前職で培った経験と実績をベースに、国内の中小製造業が持つ独自技術の「見せ方」を工夫して用途開発を加速させることを目的とした「用途開発誘起戦略」を提唱し、これを実践するための仕組みづくりを体系化して、製造業経営者の方にコンサルティングを行っている。

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