講師のホンネ

第47回

ドキドキする台風の季節

大谷 由里子 2017年10月4日
 
台風の季節になると、毎日ドキドキする。天気予報を見ながら「こちらに来ないだろうか」「強さは、どんな感じだろうか」と遠くにあるときから気になる。日本に近づき始めると、「飛行機は、ちゃんと飛んでくれるだろうか」「新幹線は、遅れないだろうか」と気になりだすとキリがない。

被害の情報に触れる度、「お客さんは大丈夫だろうか」「連絡したほうがいいだろうか」とあれもこれも気になる。

講演ともなると、半年も前から企画していることもある。また、周年行事では招待状などの準備を含め、主催者はその日のために1年前から動いている。もちろん基調講演に呼ばれた私も、穴を空けられない。公共の交通機関が止まったときを想定し、レンタカーを含め、自力で動けるルートをシミュレーションする。そして、天気予報とにらめっこしながら眠れない夜を過ごすこともある。主催者の気持ちになると、「無理に開催して、お客さんに何かあったら申し訳ない」「1年前からホテルの料理は頼んでいる」「キャンセル料はどうなるのだろう…」など心配事は尽きない。もともとイベント会社の社長だった私は、その気持ちが痛いほどわかる。だからそんなときは、わが社のスタッフがこまめに連絡してくれる。「大谷は、早めの飛行機で行くので安心してください」「万が一の時は、キャンセル料は請求しないので安心してください」。講師としての20年間には、いろいろあった。台風が接近していたので前乗りしていると、会合が中止になった。仕方ないので近くの温泉に泊まってゆっくり帰ってきた。すべての列車が止まったときは、深夜にレンタカーを走らせたこともあった。また、ある飛行場では7時間もの間、飛ぶか飛ばないかやきもきし、次の日の講演に遅れないよう、ひたすら神様に祈るしかなかった。つくづく自然には逆らえないと感じている。そのときはヒヤヒヤするけれど、待たされたことや暴風雨の中の深夜ドライブは、後で笑い話になる。お陰さまで20年間、一度も穴を空けたことはない。台風で中止になったお客さまからは、「現場にそろったのは、私と大谷さんだけでしたね(笑)」と、その後もご縁がつながっている。

2017年10月4日フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

有限会社志縁塾
大谷由里子

おおたに・ゆりこ 1963年、奈良県生まれ。
85年吉本興業に入社。マネジャーとして活躍後、2003年に志縁塾設立。

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