マネジメントを再考してみる 後編<上級マネジメント>

第3回

上級マネジメントの問題点

落藤 伸夫 2017年4月21日
 
「三上取締役は、部長たちの働きに不満があるけれど、それは個人の能力の問題ではないと仰いました。それはどういう意味ですか?」

「以前、現場マネジャーのマネジメントについて言ったことと同じだよ。現場マネジャーには、もっと良い働きをしてもらいたい。でも、それがなされているとは思えない。ただ、それは個々の現場マネジャーに能力がないとか、真面目さが足りないという意味ではない。現場マネジャーのマネジメントとは何を達成することか、それを実現するために何をすべきなのかが教えられていないからだ。」

「それと同じように、上級マネジャーのマネジメントについても、上級マネジャーのマネジメントとは何を達成することか、それを実現するために何をすべきなのかが教えられていないと仰りたいのですね。」

「そういうことだ。プラスしていうと、上級マネジャーの場合には、それを行うための仕組みも必要だ。それがないことも問題なんだ。」


上級マネジメントとは何か

「三上取締役が考える上級マネジャーのマネジメントとは何なのですか?」

「MCSの観点からすると、現場マネジャーがきちんと彼らのマネジメントを行い、成果を出すことができるように導き、促すことだ。」

「えらくシンプルな答えですね。」

「しかし、奥は深いぞ。」


実は、ロジックが逆転している

「その、奥が深いところを少し探っていきたいと思います。何がポイントなのでしょうか?」

「常識とはロジックが逆だということだ。」

「ロジックが逆?どういうことですか?」

「だって、考えてみろ。上級マネジャーのマネジメントとは『現場マネジャーがきちんと彼らのマネジメントを行い、成果を出すことができるように導き、促すことだ』という定義、順序が逆だと思わないか。」

「そう言われると、今まで三上取締役から洗脳されてきたのであまり違和感を感じませんでしたが、普通は順序が逆ですね。上司が、自分の考えを部下に実行させることが上級マネジャーのマネジメントだと考えるのが、常識でした。」

「そうなんだ。」

「思い出してきましたよ。徳川家康のマネジメントですね。」

「そうだ。そしてマックス・ウエイバーのマネジメントでもある。」

「マネジメントの観点からすると、徳川家康やマックス・ウエイバーは悪い奴らなんですね。」

「いや、そうとも限らないだろう。彼らは国家のマネジメントを考えていたんだ。特に一致団結して外敵に対峙しなければならない国家の場合は、そのマネジメントが適していたのだろう。」

「でも、そう考えると、競争が激しい企業にも、それが当てはまるのではないでしょうか?」

「そうかな。競争に勝つのは、競争相手を打ち負かした結果なのだろうか?それとも競争相手よりも顧客に受け入れられたからなのだろうか?」

「そう考えると、後者ですね。」


顧客に受け入れられるためのマネジメント

「そうなんだ。企業のマネジメントは、顧客に受け入れられるために行う。」

「そこで三上部長が大好きな、近代マネジメントが生まれてきたわけですね。」

「そうなんだ。テーラーの功績は流れ作業を開発したことだと言われれいるが、俺はそれだけではないと考えている。」

「だって、流れ作業で自動車の大量生産が実現したのでしょう。偉大な発見ではないですか。」

「そうだよ。しかしそれは、生産工学としての物ごとの捉え方なんだ。」

「というと?」

「流れ作業には、マネジメント的観点で言えば『生産効率や生産品質が高まる方法をマネジャー側が考え、それを働き手に行うよう促した』という意味合いがある。」

「そういうお話、以前にもお聞きしましたね。」

「だからこそ、マネジメントは、現場のマネジメントが源流になるんだ。」

「なるほど。」


顧客がお金を出す対象

「考えてもみろ。顧客がお金を出して買うのは、上級マネジャーのマネジメントか?それとも現場が作り出した製品やサービスか?」

「製品やサービスです。」

「そういう意味でも、製品やサービスがうまく作られ、顧客に届けられるようにするための現場のマネジメントが出発点になるのではないか?」

「わかりました。」


現場をベースに上級マネジメントを捉えなおす

「今のお話はもっともだと思いますが、それでどうして上級マネジャーのマネジメントが変わってくるのですか?」

「考えてもみろ。製品やサービスがうまく作られ、顧客に届けられるようにするための現場マネジメントが出発点だ。そこに『俺のいうことを聞け』というマネジメントが上層部から行われたら、現場はうまく機能することができるか?」

「それは無理でしょうね。でも、そんなこと、よく発生しているような気がします。」

「そうなると、中間管理職は疲弊するだろうな。」

「私が言いたかったこと、まさにそのことです。」

「ならば、どうすれば良い?」

「上級マネジャーのマネジメントは、現場マネジャーがきちんと彼らのマネジメントを行い、成果が出るように導き、促すことだと定義することなんですね。」

「そうなんだ。」

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

昨年まで、現場マネジャーが行うマネジメントについて、世界標準のマネジメント理論である「MCS(マネジメント・コントロール・システム)論」をベースに考えてきました。日本では「マネジメント」について省みることがほとんどないようですが、世界では「マネジメントとはこういうものだ」という姿がきちんと描かれていて、それを学ぶように促されています。日本のホワイトカラーの生産性が低迷している原因は、もしかしたら、このあたりにあるのかもしれません。

昨年度は約1年かけて、現場マネジャーのマネジメントについて考えてきました。現場マネジャーは、現場で働く人たちが高いパフォーマンスをあげられるよう促すマネジメントを行なっています。一方で現場マネジャーも、マネジメントを受けます。現場マネジャーが行うマネジメントが現場の力をあますところなく引き出しているか、企業として目指す方針や戦略を実現できるよう導いているかという観点でのマネジメントを必要としているのです。

今年度は、連続コラム「マネジメントを再考してみる」の後編として、上級マネジメント(上級マネジャーの行うマネジメント)についてMCS論をベースに考えます。上級マネジャーがどんな役割を担っているか、それをどのように果たしていくかについて、体系的にご説明します。 企業パフォーマンスを向上させる世界標準のマネジメントに関する解説は、日本初の試みです。是非、お楽しみください。

コラム マネジメントを再考してみる 後編<上級マネジメント>

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